コンサルで経営のわからないを解決「中小企業の相談役」
松濤bizパートナーズ合同会社 高階 修
ビズストーリー編集長の大田原です。
「社長」による「社長」のための「社長」ストーリーをお届けするのがビズストーリーです。たくさんの社長の方から、様々な視点での学びを得て自分だけのビズストーリーを刻んでいきましょう。
今回は、経営コンサル領域の事業で活躍をされている高階様です。
- こんな方におすすめ
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・起業の経営コンサルに興味のある方
・学生起業を検討している人
- こんなことが学べる
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・中小企業をターゲットとした集客方法
・起業をする際のお金の注意点
・地方で事業を起こすときのポイント
中小企業の経営課題をコンサルティングで解決する
事業内容について教えてください。
中小企業さんを相手に、経営戦略の企画・立案/管理会計の構築支援/財務健全化支援など、俗にいうコンサル業務を行っています。これまでの経歴もあって、経理や財務等のお金回りに関しての管理、特に法人の債権債務や未収金等の分野では相当の知見を有していますが、もちろん数人でできることではないので、外部の弁護士さんや会計士さんと組んでやらせてもらっています。
-その弁護士さんや会計士さんはどのようにお願いしてきたんですか?
これはビジネス的にはあまりやらない方がいいことなんですが、100%人間的な繋がりです。大企業の場合、お互いが友人だと思っていても結局は企業の看板同士としての繋がりという感覚が往々にしてあります。その点、私が所属していたジャックスはそこまで大きな企業ではなかったので、人間的な繋がりが今でも続いているという状況です。ある意味ラッキーですね、本当に感謝しています。
-そういう方々とお会いするのは会社のお仕事を通じてのものなんですか?それとも交流会や紹介だったりなんでしょうか?
同じプロジェクトを一緒にやった人やその担当者であった人が多いです。1990年代はビジネス交流会などが出始めた頃でしたが、その辺で名刺交換した人で付き合いが残っている人はほとんどいません。今でもその付き合いがある方の理由としては、お互い歳を重ねてそれなりのポジションになってきたので、何か仕事があったらうちに持ってくるだろうという感覚があるからですね。この感覚が大変な時もありますが、繋がりが続いているというのはありがたいことです。
-高階さんは、積極的な営業や後追いを行わないとお聞きしているのですが、どのようにクライアントさんを集められているんですか?
松濤bizパートナーズはBtoBの会社なのでSNSはあまり使っていません。ひと昔前であれば検索上位や広告なんかが目新しかったのですが、最近はユーザーも慣れてきて効果が薄まってきているんです。人手も少ないですし、結果的に自社HPを中心とした集客がコスパがいいということで、結果的にそこに落ち着きました。ですので、現在は自社ホームページからの問い合わせをもらうことと過去の人脈が半々くらいです。
あとは、後追いを行わないということに関しては労働効率が悪くなるからですね。やはり弊社のような小さな会社にお問合せをされる方というのは「依頼をする気はないけれど、とりあえず送ってみる」といったようなセカンドオピニオンを求めている方が多いんです。
-それで「後追いをしていない」と書かれているんですね!
確かに、問い合わせを押したら営業が来るって思ったら押すハードルが上がりそうですね…
それもありますが、私たちが狙っているのは相見積もりをとって価格勝負するクライアントさんではなく、偶然弊社を発見するようなコンサルを使ったことがない人たちなんです。
立ち上げに至った経緯を教えてください。
信販会社にいるとよくわかるのですが、なくなってしまう企業って山のようにあるんです。でもそういう企業って銀行に取引停止にされて初めて事の重大さに気が付くんですけど、相談するのが2段階くらい遅いんです。もっと早くうちの会社に言ってくれればどうにかなったのにっていう状況も多くて、その気持ちが一番最初の動機です。
事業成長の秘訣はターゲット設定
競争優位性について教えてください。
-ここまで伸ばしてこられた要因はなんでしょうか?
倒れかけている多くの人たちは、具体的に何をしたらいいかわからないけどとにかく「今まずい、どうしたらいいんだろう」となっていると思うんです。具体的な目的や数字がある人はそれ専門のところに依頼をすると思うので、弊社は具体的に何をしたらいいかわからない人たちをターゲットにしています。
1つポイントとして挙げられるのが、ホームページを少し力を抜いて言い方を変えてダサく作成してる部分です。何故かというと私たちがターゲットにしているような人たちは、ゴリゴリのコンサルホームページだと気後れしてしまうからなんです。そんな強そうな経歴で、すごそうなやつでなくていい!って。なのでターゲット的には中小企業で自分たちで意思決定できるけど、初めてで何をお願いしたらいいかわからないみたいな人たちで、そういう人に1番お役に立てると思っています。
-先ほどおっしゃっていた、「あと2歩遅れたら倒産する」という状況で、どうしたらその人に貴社の存在に気が付いてもらえるようになると思いますか?
それがですね、長年業界でも研究されてはいるのですが結論としては無理なんです。大体の場合、会社経営者の方であるとか、10年20年とやってる人たちっていうのは、 ものすごく自分に自信があるんです。言い換えれば、その過去の成功体験に縛られてしまっている状態なんですよ。
でもこれだけ世の中の動きが早くて、かつグローバル化している状況を考えると自分の若い頃の成功体験が正解とは限らない。そういう状態の人に「遅れてしまっているからこうしたほうがいいですよ」と言っても響かないんです。大企業さんでしたらそこにマーケティングリソースや営業リソースを割くこともできるかもしれませんが、これが弊社のような数人で事業をやっているような場合だとリソースは極めて有限なので難しいというのが実際のところです。ですので、今は自分で調べてうちの会社に声をかけていただくのを待つことの方が多いです。
-地方の企業さんからもご相談いただくことってあるのでしょうか?
あります。ネット集客になると意外と地方の方が多かったりします。東京はコンサルがたくさんいるので、身近にコンサルがいない地方の方がネットから見つけてきてくださることはあります。
経験値不足のままでの企業には注意‼
自身の経験から他の社長に「これは落とし穴になるぞ。注意しろよ。」というアドバイスをください
-高階さんのご経験から、アドバイスいただきたいです!
今の若い人たちは起業に対して極めてポジティブな感覚を持っているように思います。それはとてもいいことだと思いますが「やりたいことがあるから起業する」ではなく「起業したい」という順番が逆になっている人が増えてきた印象です。
-たしかに、「社長になりたい」という気持ちだけでうまくいっている人はあまり見たことないです
そうなんです。実際そのような人たちは、経験値が足りなかったり調査が足りなかったりするのに深く考えないうちに仕事を始めてしまうんです。今の日本で勢いだけでガンガンいけてしまう産業なんてあまりありませんから、これから起業する若い人たちはどこかで本気で働いた経験を基に起業することを勧めたいです。
あとはお金ですね。既に起業している人たちのなかでも今問題になっているのが、コロナ禍でゼロゼロ融資を受けてその返済に詰まってしまっているという事例です。実際その中には勢いで始めてしまった人もいるでしょうし、飲食やアパレルなどは運転資金になってしまって手元にお金が残っていないということもあり得ます。とにかくこれから起業する方には、お金の問題や人の問題というのは長いスパンで計画を練ることをした方がいい!と伝えたいです。
-学生起業は高階さんから見るとどう見えますか?
正直お勧めはしません。技術的なバックグラウンドをもった理系の学部生の方と何人かお話したことがありますが、確かに技術はあって未来もありそう、でもそれは数年後〜10年後の未来の話ですよねというパターンが多いです。日本政府では研究開発型企業といって支援があったりもしますが、その目指す未来まで資金がもたないと強く言いたいです。なので、起業したいのであればちゃんとしたプロをつけてやらないと確実に折れてしまいます。かのスティーブ・ジョブスも最初技術だけで行ったら潰れてしまいましたし。
-たしかにそうですね。
もう1つは、突出した技術やノウハウがあるわけではないけれど起業したいというパターンです。ネット広告や人材派遣、動画編集や講座を売ったりなんかで起業する人が最近はよく見られますが、これはほぼ営業特化型で突出したスキルは残らないことが多いです。そういう方はそれなりに優秀であることが多いので個人的にはもったいないなと感じます。
-となると、最初は何をするのが1番いいのでしょうか
私個人としては最初は普通に企業に就職して社会人スキル的なものを身に着けてからの方が圧倒的に効率はいいと思っています。後は、世の中の広さを知るという意味でもやはり一度企業に就職する方がいいと思います。よく学生起業した人で「営業力に自信があります」とか「フットワークが軽いです」とかいう人が沢山いますが、営業力のある大企業には勝てないわけですから。
-私はずっとベンチャーにいたので大手との違いや身につくスキルの違いについてお聞きしたいです。特に、高階さんがイメージされる身に着けておくべき社会人スキルがあればそれもお伺いしたいです
とにかくビジネススキルの基礎を身に着けるということです。このビジネススキルには営業力なんかも含まれますし、個人情報の扱いなども会社の大きさによって変わってきます。ベンチャー等ではあまり気にされなかったりもしますが、大手であったらギガファイル便などで送るのは御法度です。ベンチャーでOKだったことが老舗企業ではNGであることなんて山ほどあるので、どちらも経験していることはとても大きなアドバンテージになると思います。
「生産性向上」が信念・哲学
『企業哲学』について教えてください
-高階さんがお仕事をする上で大切にされていることはありますか?
日本は「失われた何十年だ」ってよく言われますし、衰退途上国だという人もいます。それは海外に比べて社内統治や経営手法であるとか、特にホワイトカラーに差があることが原因ではあると思います。生産性に関しても、世界は新しいテクノロジーや新しい理屈でドンドン先に進んでいるのに、日本はずっと一緒なんです。昭和の時代から根本が変わっていないんですよ。そんな状況を少しでも変えたい、そんな気持ちで企業支援をしています。
高階さんの思う『社長』とは?
あまり自分を過信しないということです。複雑化した今の社会で、会社が大規模になればなるほど自分一人ですべてが解決できるなんてことはなくなっていきます。そうなると、常に自分があっているんだと過信しすぎている人は失敗してしまうので、普段から自分に対して戒めて、自分の感覚が間違っていないか?とクエスチョンを頭に置くようにしています。ニュースにもならないような、地方の名士の会社が経営破綻する時は、例外なくトップの独善的な態度や姿勢が原因なので。
-確かに、なにか地方で事業をやりたいと思っても、その地域で強い権力者の方っていますよね
そうですね。よそ者が地方に来て何か新しいことをしようとしても、妨害まではいかなくても便宜を図ってくれないなんてことはよくあることですし、自治体なんかも人間関係の基盤に乗っかって構成されていることが多いので、自治体に相談することも難しい場合が多いです。もし地方でなにかやりたいのであれば既存の事業の延長線上で、完全に新しい事業をやるのであれば都市部でないと日本では厳しいです。
現在高階さんと一緒にお仕事されている従業員の方との繋がりとは?
元々は直属の部下で、私が会社を辞めて起業する時についてきてくれました。オールラウンドになんでもこなしてくれます。
-正直なところ、会社をやるって言うのは必ずしも安定しているとは言い切れないと思うのですが、どうしてついてきてくださったんですか?
1つ目は、転職ハードルが低い就職氷河期世代なのが大きいかもしれません。100社送って1社返ってくるというような時代でしたから、就職や離職のハードルも今とは感覚がだいぶ違うと思います。もうひとつは女性の従業員なのですが、テレワークを導入していたので子供をもつ彼女からしたら働きやすかったというのはあると思います。働き方改革じゃないですけど、優秀だけど様々な事情で仕事の現場に戻れない方が山ほどいる中で、リモートワークにすればそのような人を雇えて戦略化できるんですから、やらない手はないですよね。
-となるともう経営者さんがどのように経営していくかで、どんな人を雇った方がいいかっていうのを考えていくことになりますよね
少し話は逸れますが、優秀な女性が結婚した・旦那さんの転勤についていってしまったなんてことはよくある話ですが、その人材もいつかは戻ってくる可能性があるわけです。その人材との繋がりを途切れさせないために年賀状なんかを送る大企業をいくつか知っていますし、また勤められる環境になったら戻って来てくれという意思がある人たちもいます。
しかし、今述べたような繋がりというのは、人事部が一括採用しているような大企業であればあるほど職務分掌の側面ではバッティングしてしまうので、さじ加減が難しいところではあります。雇いたい人材をどう雇うか、最近は選択肢も増えてきていますし弊社も柔軟な企業でありたいです。
これからの夢や目標を教えてください
誰に相談したらいいかわからない、中小企業や孤独になってしまう社長さんなんかを減らしたいです。その結果、日本の生産性が改善して失われた何十年が終わる一助を担えたらいいなと思います。
まとめ
高階さん、お時間いただきありがとうございました!
いかがでしたでしょうか?高階さんは経営コンサルをされているとのことですが、人つながりでビジネスができるというのはこれまでのご自身の仕事や経歴が生み出したもので、それは学生起業ではなく一度サラリーマンとして働いたことがプラスになったからだと思います。学生起業には夢もありますがリスクもあります。その夢を追うお手伝いがこの「ビズスト」でできたらと思います。
他にも学生起業についてインタビューさせて頂いている記事もあるのでぜひチェックしてみてくださいね!
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