
株式会社Rainbow Taste 寺門 里紗
今回は、業務支援領域の事業で活躍をされている寺門様のビズストーリーをお届けします。
- こんな方におすすめ
-
・相談をするかどうか、そもそも相談が苦手な方
・メディア事業を立ち上げようとしている方
- こんなことが学べる
-
・ターゲットを絞った事業戦略
・自分の専門領域の広げ方
株式会社Rainbow Taste 寺門 里紗
今回は、業務支援領域の事業で活躍をされている寺門様のビズストーリーをお届けします。
調味料製造者様に特化して業務支援を行う企業になります。具体的には、経営課題などをお伺いして、一緒にどういった解決策があるのかを考えながら伴走させていただいています。最近だと「新しい商品を開発したい!」という企業様が多いので、分析やリサーチから入って、実際に商品を開発するところまでをご支援させていただいたりもしています。
実際の業務支援内容は多岐に渡っていまして、広報支援だったりですとか、あとは、私自身が元々バックオフィス業務に精通していたこともありまして、バックオフィスの仕組み化のご支援もさせていただいています。
-ありがとうございます!私のイメージでは「調味料を宣伝している会社」だと思っていたのですが、商品開発からされることもあるんですね!
そうなんです。メインは業務支援事業になるのですが、その中でご一緒させていただいてる製造者さんから、例えば「PRをしたいんだけどPRの場がない」「商品についてもっと想いの部分から伝えたいんだけどそういった場がない」みたいなお声を聞くことが多かったので、新規事業としてウェブメディア事業を立ち上げたというような背景があります。
-そうなんですか!なぜ調味料なんだろう?とは思ったのですが理由はあったのでしょうか?
私の父はスパイスが大好きで、スパイスカレーを手作りするような父親でした。小さい頃から調味料やいわゆる日本の香辛料みたいな物が家にたくさんある環境で育ってきたんです。
社会人になってからは、地方出張や友人との旅行などで国内の色々な場所に行く機会が多くなって。「観光したくても時間の制限があってなかなかその土地を楽しみ切れないな」「どうやったらこの土地をもっと楽しめるかな」と思った時がありました。
そこで、道の駅や空港、駅にあるお土産の販売所で売っている調味料を必ず買って帰るようにして、写真を撮ったり感想を残したりしていたら、いつの間にかそれがどんどんたまって、すごいコレクションになっていたんです。こういう自分の好きなことをライフワークにしていけたら面白いなって思ったことが、調味料に関する事業をやることになったきっかけになっています。
元々は婚活系のIT企業で秘書として勤めていました。そこで代表取締役副社長の秘書として従事することになりまして、かなりカオスを経験したと言いますか(笑)秘書って「スケジュール管理」「会食の調整」などのイメージを持たれる方が多いかと思うのですが、ゴリゴリのベンチャーだったので、かなりなんでもやらせていただけて。
いわゆる経営企画的な立ち回りで、代表が「これを実行したい」とアイデアを思い浮かべたものを事業部に渡すために分析やリサーチをしたり、より解像度を上げて実行可能な状態にするといったことを秘書としてやらせていただきました。あとは、M&Aに携わらせていただいたり、PMIや経営再建のためにグループ会社に携わらせていただいたり……本当に色々なことを経験させていただきましたね。
「起業=めちゃめちゃ天才な人がするもの」だと勝手に思い込んでいた自分がいたんですけど、役員の方々の近くで働く中で、起業すること自体がすごく身近に感じられたんです。
本当に解決をしたいものに対して、起業という選択肢や手段があるんだということを感じられて、「いつか自分も自分自身が見つけた課題解決のためにトライできたらな」っていうのを漠然と思ってたんです。たまたま20代最後の年に色々なご縁をいただくタイミングができて、「今チャレンジできたらベストかも」と思い、思い切って起業してみようと決意して飛び込みました。
-そういう環境も身近にあったからこそ、踏み切れたって感じもしますね。
そうですね。多分1つの業務や分野だけに特化していたら経験できないようなことをさせていただいていたので、そういう意味では事業の0→1を作るみたいなところを体験させていただいていたと思います。
–ここまで事業を伸ばしてこられた要因ってどこにありますか?
まずはターゲットをかなり絞っているという点が、弊社の場合はかなりプラスに働きました。大体、製造業の業務支援をやられる方とかって、幅広く「製造業全般」というようなターゲティングをする方が多いかと思うのですが、弊社は少し変わっていて、調味料製造者様を基本として食品系の製造業の方に限定し、かなりニッチな業界に絞ってやっています。
本当に温かい業界で、お客様をご紹介してくださることも多くて。「ここに良い製造者さんがいるから1回話聞いてみなよ!」とか「うちの知ってる製造者さん、これ困ってるんだけどどうかな?」などお引き合いをいただけるような温かい環境で本当に感謝してもしきれません。業界を絞ったことが、今少しずつ事業が拡大できてる要因かなと思っています。
-これから事業を伸ばしていくにあたって課題になりそうなポイントはありますか?
業務支援事業においては、現在ご支援できる領域が限られてしまっているので、これからさらに業務支援の領域を拡大して、一気通貫でお手伝いができるような企業を目指したいと考えています。
また、新規事業として立ち上げた調味料D2Cブランドの「里SEASONing」では、製造者様に新しい販路としてご活用いただけるよう、認知のあるブランドに育てていきたいです。元々製造者様から「新しい販売先を探してるんだけどなかなか見つからない」というお声をいただくことがすごく多くて……「であればもう自社でやってしまおう!」と思い、ご当地調味料という大枠の中でブランドを立ち上げて、新規事業として運営しているので、これからたくさんの方に愛されるブランドへと育てていきたいです。
「ご当地調味料」というワードを思い浮かべた時の第一想起がうちのブランドになるような、全国各地の製造者さんの調味料を扱えるブランドにしていきたいです。
–寺門さんが経営をする上でこだわっていることはなんでしょうか?
1番重要視しているのは、「製造者様をご支援するためにある企業であり続ける」ということです。新しいブランドの「里SEASONing」もそうですし、WEBメディア「調味料.jp」もそうなんですけど、弊社のファンになっていただくことを目指してるわけではなく、あくまでも「製造者さんのファンになっていただく」ことを目指しているので、そこは常に忘れないようにしたいと思っていますし、常にメンバーにも伝え続けている部分です。
どうしてもブランドやメディアを運営すると「うちの認知が上がっていけばいい」と短期的には思ってしまいがちなんですけど、その時々の決断をする中でこれが本当に製造者さんのためになっているのか、製造者さんから見た時に健全な状態なのかみたいな目線は忘れないようにしています。この部分は他の企業様と大きく違うところであり、弊社の強みだと思っているので、今後もこだわっていきたいです。
起業しようと志す方って割と何事も自分で解決できてしまう方がほとんどだと思うんですけど、逆から見た時にはどんなに悩んだ時も他人に頼れない状況に陥りがちだと思うんです。私自身も起業してからしばらくは全て自己解決しようと考えてがむしゃらに働いていましたが、1年ぐらいで大きな壁にぶつかったような感覚になって。
わからないことしかないし、正直何がわからないのかもわからない……みたいな追い込まれた状況の中で「もう自分1人じゃ到底解決できない」という状況に陥っても自分以外のリソースを使って解決するっていう手段を生きてきてから思い浮かべたことがなかったので、すごく心苦しかったというか、どうすれば良いかわからずすごく悩みました。
そういう時には起業家コミュニティがすごく強いです。何か志を持って頑張ってる方に、本当に無償でギブしよう!としてくれる方がたくさんいるので、わからない時に「本当に今こういうことで困っていて…」と伝える(手を挙げる)と、助けてくれる先輩方がたくさんいます。大きく悩みすぎずにもう少し早く助けを求めていたらよかったなって自分自身今すごく後悔してるので、これから起業しようとされている方や起業家の方に他者のリソースも良い意味で活用しながら、悩み込まずにやっていくっていうのが、結果的には長く事業運営していく秘訣なのかなと今になっては思っています。
-私も相談するのはすっごく苦手で、自己解決しちゃうタイプなのですが相談しようと思ったきっかけってあるんですか?
悩みすぎてどうにもこうにも立ち行かなくなって、何も手がつかない状態になったことが一度あって。もう完全に今自分が止まってるって思った時があったんですよね。起業して1年ぐらいの時ですかね。ちょうど甲状腺の持病が発覚したことも重なって、このままだと廃業しないといけないというところまで追い込まれました。。そのタイミングでこれはどうにかしなきゃいけないと思って、マインドセットを変えてメンバーや周りの人に助けを求めることを学びました。そういう経験をする起業家が少なくなるといいなと個人的には思っています。
起業してまだ事業が整ってない、本当に何もないところから一緒にやってくれているメンバーなので、目指す方向性が分からなかった時期も正直あったと思います。0の状態から今まで一緒にやってくれていることに、本当に感謝しかないです。あとは、現在は業務委託のメンバーが中心なので、弊社のお仕事を通して活躍してくれてる姿はもちろんですけど、今多方面で活躍している姿を見ると、私自身すごく背中をされる部分があるというか、切磋琢磨させていただいてる関係な気がしているので、今後も仲間としてお互いの背中を押し合えるような関係でいられたらと思っています。
調味料って数え切れないほど無限に市場に出回っていて、本当に色々な種類の調味料があるのですが、ユーザーの皆さんが中小規模の製造者さんの商品に出会う機会は限られているのが現状です。どうしても大手のメーカーさんの商品に触れ合う機会の方が圧倒的に多いんですよね。そこをシームレスに製造者の規模感や地域などに関係なく、様々な選択肢の中から調味料が選べる世界を弊社が作り出していきたいと考えています。実現するために色々な手段や事業を通して業界に貢献していきたいです。
あとは「里SEASONing」というブランドが、弊社としてはかなり思い入れが強いブランドなので、まずは国内をターゲットに展開し、早い段階で海外の方に「日本のご当地調味料」について知っていただけるよう認知獲得に努めてまいります。調味料で日本全国を旅するような気持ちを味わっていただけるブランドにしていけたらと思っています。
▼四季を味わうご当地調味料のD2Cブランド「里SEASONing」
▼調味料特化型WEBメディア「調味料.jp」