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唯一無二の強みを活かし「LINEスタンプとLINE着せかえ」でシェア世界一を獲る

株式会社インクルーズ 山﨑 健司

ビズストーリー編集長の大田原です。
「社長」による「社長」のための「社長」ストーリーをお届けするのがビズストーリーです。たくさんの社長の方から、様々な視点での学びを得て自分だけのビズストーリーを刻んでいきましょう。

今回は、デザイン・IP領域の事業で活躍をされている山﨑様です。

こんな方におすすめ
・二代目・三代目社長の方
・会社を方向転換させていきたい方
・デザイン・IP関連事業を始めたい方
こんなことが学べる
・会社を作り直す方法
・1から事業を伸ばしていくためには

IPアグリゲーションとクリエイティブを武器にデザインコンテンツ領域で世界一を目指す

事業内容について教えてください。

弊社は「自社サービス」を中心に4つの事業を展開しています。

1つ目が、LINEスタンプとLINE着せかえを中心としたデジタルコンテンツをライセンシーとして販売するコンテンツデザイン事業。

2つ目が、フィジカルグッズのオンラインくじ「カワセルくじ」をライセンシーとして販売するグッズデザイン事業。

3つ目が、LINEクリエイターズスタンプ「面倒だがトリあえず返信」から生まれ、10年間で日本だけでなく、台湾・中国などで2,000種を超える商品化を実現した自社オリジナルIP「めんトリ」のライセンスを販売するキャラクター事業

4つ目が、唯一の受託型事業ですが、100社230ゲーム超のゲームデザインの制作支援をするゲームデザイン事業。

この4つの事業を中心に展開しています。

-ありがとうございます!ちなみに、1番最初に始められた事業は4つの中でどれになりますか?

山﨑が入社して、1番最初に始めた事業となると、先ほど説明した4つの事業の中には無くて、大手レンタルビデオチェーンのWEBとモバイルの広告メディア化事業と、それに付随するカスタマー及びコールセンター業務という共同メディアと運営受託のハイブリッドな事業です。入社直後は大赤字でしたので、足元の売上として、まずは毎月1,000万円の売上を早急に作る必要があったので。

実は弊社は結構歴史が古くて創業から数えると実は23年目ほどになるんですけど、私が入社した2008年の時には、フリーペーパーを発刊する等の「自社メディアを持つ広告代理店事業」を中心に事業展開していたので、私が入った後に2年ほど掛けて、「コンテンツ事業寄りに」180度会社の中身を変えていった流れになります。

その後、ガラケーからスマホに変わる2010年の時代の変わり目に、スマホシフトしても残るであろうコンテンツカテゴリーを私の中で判断し、「きせかえ」と「電子コミック」のコンテンツプロバイダー事業と、「ソーシャルゲーム」の企画・開発・運営事業を始めていったんですけど、結果、今でも残っているのが先ほどもお話ししたコンテンツデザイン事業とゲームデザイン事業になりますね。なので、今もインクルーズで残っていて、私が1番最初に始めた「自社サービス事業」で言うとコンテンツデザイン事業になります。

社長になられた背景を教えてください。

-てっきり山﨑さんが立ち上げられた会社なのかと思っていました。

インクルーズの創業は2001年なので、実は違います。

ヘッドハンティングエージェントさんからお声がけいただいたことをきっかけに2008年1月からインクルーズに執行役員としてジョインし、2008年4月に専務取締役COOに就任しました。元々インクルーズは東証マザーズ上場会社の100%子会社で従業員も130人ほどいましたが、親会社である上場企業の意向で入社4か月目から実質私が「代表代行」をしていくような流れになりました。

-そこでやろうと思ったこともそうですし、ちゃんとやり切られたところもすごいですよね…

そうですね。私が実質的に会社をやっていくことになってから180度の方針転換を示したので、その後の1年間で残念ながら社員の8割近くがやめてしまいました。そこから採用をし直していって、もう一度100人規模の組織を作っていった形になるので、大変なこともありました。

-その採用も山﨑さんが中心で行われていたんですか?

特に転換期の幹部採用は信頼できる仲間が必要なので、自分がリファラル採用をやってました。ただ、その信頼できる仲間が全員、私の前職の部長職だったので、結果として3人が前職からインクルーズに転職して貰った事で、正直、前職には迷惑をお掛けした形になってしまいました…

-それは揉めそうですね…。話は変わりますが1つ気になったことがありまして、先ほど創業からは23年ほどたっているとのことでしたが設立は2017年になっていますよね?

それは私がMBOしたからですね。2009年に、上場していた当時の親会社の業績が悪化し、インクルーズの全株式を別の事業会社に売却したんですが、株主が変わるタイミングでも引き続き、私を専務取締役COOに任命してもらいまして、その後2014年に又、別の株主にインクルーズの全株式を譲渡したタイミングで、今度は代表取締役CEOに就任しました。

とはいえ、インクルーズの株を一株も持つ事が出来なかったので、雇われ社長という形です。その後、社運を賭けた日本で一番人気と歴史のあるキャラクター会社との大型事業と、ソーシャルゲームの企画・開発・運営事業が大失敗し、結果として、2つの大赤字事業のリストラなどのハードシングスを経て、「面倒だがトリあえず返信」を中心とするLINEスタンプ事業が大成功しました。大きなリターンを求めて、大きなリスクを取るソーシャルゲームの企画・開発・運営事業は撤退しましたが、「デザイン」という遺伝子だけは残したかったので、「ゲームデザインアセットの制作支援事業」に事業転換した事で、堅調な売上を確保する事も出来ました。結果として2017年2月に山﨑個人でSPCを利用したLBOスキームを使って、MBOすることになったので設立が2017年になっているわけです。MBO後は、全ての事業と全ての従業員は引き継ぐ形にしていました。

「強み」の再定義で事業拡大を図ってきた。

競争優位性について教えてください。

-ここまで事業を伸ばしてこられた要因ってどこにありますか?

MBOしてからのお話をすると、「IP × デザイン」にかなりフォーカスして取り組みました。我々の強みはIPを獲得出来る力と、それを活かすデザイン力だと再定義をしまして、そこを集中的にやっていこうとしたことが大きかったかなと思います。

特にLINEスタンプとLINE着せかえで言うと、弊社がお付き合いしているIPライセンサーの会社が、2024年3月現在で、250社・800IP超ありまして、TVアニメやマンガ原作を中心とするIPジャンルは一通りお付き合いさせてもらっていることが強みになっています。それに加え、今でも毎年100IPから150IPほど新しい契約IPが増えています。そこがかなり強みになっているかなと感じますね。

-すごい!どのようにして毎年100以上伸ばしてこられているんですか?営業活動などをされているんですか?

元々は私が1人でIP契約数を伸ばすための営業をしていたのですが、今は私の下にIPのバイヤーチームとして20代半ばの優秀なアカウントディレクターを2名つけて取り組んでいます。

ただ、現時点で250社を超えるIPライセンサーとの取引口座があるので、最近では、大手出版社様等に対し、能動的且つ、積極的な営業は行わずとも、TVアニメの新作の放映やマンガ原作の話題作が盛り上がったのタイミングで、先方のライツ部門の各担当者様からインクルーズまでお声がけを頂けるような関係値にはなってきている事も競合優位性の一つかとは思います。

-創業初期は講談社さんのような大手出版社とお付き合いするのは難しいと思うのですが、どのようにお付き合いされていったんですか?

それで言うと、私は前職も含めてこれまでIPOを3回ほど経験している中で、様々な有名IPライセンサーと向き合う事業を、25年間やってきているので、その中で深い関係値ができていたことが大きかったかなと思います。普通であれば創業期に大手出版社とお付き合いするのは難しいと思いますね。もっと言うと、創業期だからとかではなく、その社長自身に各IPライセンサーとの関係値が無いと、お付き合いするのが難しいという感じですね。

信念・哲学は「利益を意識しない」こと

『経営する上での哲学』について教えてください

-山﨑さんがお仕事をする上で大切にしていることはなんでしょうか?

私が1番大切にしていることは「利益を意識しないこと」ですね。もう少し嚙み砕くと、利益はついて来ても来なくてもどちらでも良いという感じです。例えて言うと、何か頼みごとをされたら「タダで受ける」とかですね。頼まれごとはとりあえず受けるというスタンスは自分の中で大切にしている部分です。

-ありがとうございます!普通はそのような余裕がない方が多いのかなと思いますが、山﨑さんはどのような理由で利益を意識せずに頼まれごとは受けるというスタンスになられたんですか?

私が入社した1番最初の会社で、ガラケーのコンテンツ事業責任者を任される機会があったのですが、そこでの経験があったことで今のスタンスになりました。ガラケーのコンテンツとしてカラオケのコンテンツに加え、俳優やアーティストのファンクラブサイトを立ち上げましたが、2002年頃はまだインターネットも発展しておらず、情報がかなり少なかったので、月額300円で好きな俳優さんやアーティストさんの情報が取れるこのファンクラブサイトはかなり大人気で、結果として、日本で一番の月額有料会員数を誇るファンクラブサイトまで成長しました。

最初は会社の看板のおかげもあって、少なくとも1回は俳優さんやアーティストと繋がることはできていましたが、そこから継続的な関係性を作っていくとなると人と人との付き合いが大事になってきます。人と人との付き合いをしていく中で、儲かる事を優先させてしまうと俳優さんやアーティストさんは離れていきますし、信用もしていただけないのでまずは本当の意味で友達になるというか、ビジネスで向き合うというより人として向き合うことで成功してきました。その経験は大きかったと思います。

山﨑さんの思う『社長』とは?

社員のみんなに「仕事を楽しんでもらえるように調整する係」の人かなと思いますね。

ここであえて「係」と言ったのは、社長は全然偉い人ではないと考えているからです。お金を集めてきて資金繰りをしているのでそういう意味では偉いと捉えられるかもしれないですが、私は別に本質的には価値はないと感じています。

なのでみんなの目標を決めて、その目標をどのように楽しみながら達成できるかを調整する係の人という感覚です。

-ありがとうございます!その調整をしていく中で、カルチャーを浸透させていくために行っていることはありますか?

弊社では、現場の男女比が2:8ということもあり、常に要望を聞いて、できるものは即日改善していくことはずっとしてきていますね。

-皆さん楽しみながらお仕事ができそうですね!質問を変えますが、山﨑さんの色々なご経験から他の社長へ気をつけるべきことや落とし穴になりそうなことがあればアドバイスをください!

今はリモートの時代になっているのであまりないことかもしれませんが「過度に凝ったオフィスを作らないほうが良い」ですかね。もっと言うと「自分を大きく見せないほうが良い」ですね。

私の元部下も、会社を立ち上げたところまでは良かったんですけど、2年目に「社長室を作ります!」と言って作ったらその年に倒産してしまいました。私も社長室を作るような時期はありましたが、今は全くそのようなものは作っていません。

メンバーに「本当は伝えたいけど、伝えられていないこと」

私がインクルーズで意識している経営戦略は「凡事徹底」です。つまりは「誰でもできることを、誰もできないくらい徹底してやる」ことが結果として圧倒的な差になる。スターがいなくても、チーム一丸で成果を出せる会社にしたい。それが一番伝えたい事です。

-素晴らしいことだと思います!

弊社では、私が大きな方針等を決めさせていただいて、後の細かい戦術の部分は基本的にみんなに任せているんですけど、能動的に業務に取り組んでくれている姿勢にはとても感謝しています。

例えばですが、LINEスタンプやLINE着せかえで言うと毎月何作品出せるのかが大事になってきます。何故かと言うと、今のインクルーズでは日本で新たに放映される新規TVアニメのだいたい半分と契約するご縁を頂戴してますので、ビジネスモデル的に新作を出せば出すだけ売上は伸びる可能性があります。マンガ原作がヒットしないと、TVアニメにはならないので、TVアニメ化している時点で、確実に強い人気IPと言えるので。

これを前提として、私が例えば、「月にLINEスタンプとLINE着せかえを80点リリースしましょう!」と決めたら後は、コンテンツデザイナーのみんなに、とにかくクオリティの高い作品を作ってもらってそれを世の中に出すだけになります。勿論、各IPライセンサーとの窓口を担当するアカウントディレクターの迅速、且つ丁寧な進行管理も重要になってきますが。営業会社で言うと、売上目標に対しての商談数を設定されたら、売上を上げるのがGOALではなく、商談数を重ねる事だけに、とにかく頑張るみたいなイメージですね。

-とてもわかりやすいです…!

これからの夢や目標を教えてください

お陰様で、弊社は今LINEスタンプとLINE着せかえのライセンシーとして「シェアは日本一」になっていますが、その「シェアを世界一にしたい」と思っています。

-知らず知らずに貴社のスタンプを使っているかもしれないです(笑)

全然あり得ますね!今LINEが使われている国は、日本以外で言うと「タイ/台湾/インドネシア」の利用率が高く、利用者数で言うと、日本が半分くらいで、残りの半分がその3ヶ国になっています。ですので、今日本で流行っているTVアニメやマンガ原作のLINEスタンプとLINE着せかえを今後その3ヶ国に向けて、ローカライズして配信していこうと考えています。某サッカーアニメや某タイムリープアニメなどの日本で流行っているアニメは海外でも人気ですし、若者には特に刺さるので、それを利用して世界一を目指していくつもりです。

-お話を聞いているとかなり現実的だなと感じます。他の事業の夢や目標もお聞きしたいです!

その他の事業で言うと、フィジカルグッズのオンラインくじ事業とゲームデザイン制作支援事業でも将来的には何かしらの形で日本一を目指したいと思っています。インクルーズは「カワセルくじ」というブランドで、オンラインくじサービスを運営しているのですが、2023年のくじ販売数で【日本最多】を目指そうという目標を立てて、メンバーの頑張りで、販売数という点で言うと目標を大きく達成したんですよね。

ただ、オンラインくじ事業に関しては、2023年にがんばり過ぎた結果、課題も見えたので、まずはそこを修正して、更に成長曲線を描いていきたいです。そして、LINEスタンプ・LINE着せかえに加え、オンラインくじとゲームデザインでも何かしらの形で日本一を実現出来れば、インクルーズのVISIONである「世界一のデザインカンパニーになる」に繋がると確信してます。

まとめ

山﨑さん、貴重なお話をありがとうございました!

誰もが知っているようなアニメなどのLINEスタンプや着せかえを毎年1,000作品以上、世の中に発信されていて、私ももちろんですが読んでいただいている皆さんの中にもインクルーズさんの作品を使われている方がいるのではないでしょうか!

今ではシェア日本一を取られ、さらには世界を目指されているような山﨑さんでも最初は様々な経験をされて今に至っていますので、会社を成長させていくためには多くの困難を乗り越える力が必要不可欠だと改めて感じました。

今後も世界中の方々が喜ぶ作品を発信し続けられるインクルーズさんに注目です!

株式会社インクルーズからのお知らせ

▼株式会社インクルーズ HP

https://www.increws.co.jp/index.html

株式会社インクルーズ

代表取締役社長CEO 山﨑 健司

モバイル × 音楽、アーティスト、エンタメ、メディアの領域で、事業責任者として3社のIPOに貢献。
主に今は、モバイル × IPとクリエイティブの領域でLINEスタンプ・LINE着せかえとフィジカルグッズのオンラインくじのライセンシー事業やゲームデザイン制作支援事業を展開。
マーケティングコンサルティング事業を展開する株式会社whateverの代表取締役社長と、10社の顧問と、1校の専門職大学の客員教授も務める。
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