株式会社スーツ 小松 裕介
今回は、SaaS領域の事業で活躍をされている小松様のビズストーリーをお届けします。
- こんな方におすすめ
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・自分の経験からプロダクト開発を考えている方
・40代以上で起業を考えらえている方
・起業するかどうか迷っている方
- こんなことが学べる
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・組織構築で気をつけること
・組織がうまくいかない原因
株式会社スーツ 小松 裕介
今回は、SaaS領域の事業で活躍をされている小松様のビズストーリーをお届けします。
中小・中堅企業向けのチームのタスク管理ツール「スーツアップ」というSaaSを開発、運営しています。中小企業の課題は、「組織をちゃんと作れていない」「社内のコミュニケーションがちゃんと取れていない」などで、もっと言えば、誰が何の仕事をしているのかも把握できていません。弊社では簡単にチームのタスク管理ができるSaaSを提供しています。
-ありがとうございます!弊社は某タスク管理ツールを利用しているのですが、中々浸透しなかったり使いこなせていないなと思っています。でも「スーツアップ」だと見慣れた表計算ソフトのようなインターフェースだったので、弊社みたいな会社がお客様になっているのかな?と思うのですが…
実は大田原さんのように他社の高度な設定ができるプロジェクト・タスク管理ツールの名前が出てくる段階で、だいぶITリテラシーが高いので、弊社ツールの主なターゲットではありません(笑)中小企業におけるタスク管理ツールのシェアは圧倒的にExcelなんです。
みんなでプロジェクト管理やタスク管理をしようとなった時に「タスク管理専門ツールを使いましょう!」と言っても、一人でも「使ったことない!」という方がいたら、結局Excelになってしまうんです。
タスク管理専門ツールはたくさんありますが、中小企業はそういったツールを利用していません。そのためほとんどの方がExcelを使うことになるのですが、Excelは表計算ソフトであってタスク管理に関する機能はついていません。なので「スーツアップ」ではインターフェースを多くの人が使い慣れているExcelに似せて、タスク管理ツールならではの機能を豊富につけて、誰でも簡単に使えるようにしています。
-確かにExcelに近いと見慣れているので、スムーズに取りかかりやすいですよね。ちなみにこのサービスを始めたきっかけは何になりますか?
元々私は、上場企業や大手YouTuberプロダクション「VAZ」の社長なども含め、企業再生の仕事を20年やってきました。こういった中小企業ではタスク管理ツールは導入できないんです。企業再生を開始して、いきなり新しい経営陣が「チームでタスク管理をしっかりやって、誰が何の仕事をしてるのかを見える化して協力してやってこうよ」、「まずは難しいタスク管理専門ツールを覚えて使おう」って言っても、みんなついていけずに「え?」となりますよね。なので、結局Excelやスプレッドシートを使っていました。
しかし、Excelでタスク管理をしていると、なぜ令和なのにタスク期限の通知が自動的に担当者にメールやチャットで連絡されないんだと思うんですよ。例えば「大田原さん、これ期限大丈夫?」「このタスクは期限の3日前だけどやってる?」といったようにタスクの期限が守られるかどうかについて、ひたすら電話をかけたりチャットを送ったり…なんて生産性が低いんだろうなと思っていました。
このタスク期限のリマインドを始め、チームのタスク管理が簡単になったらもっと皆働きやすくなるし良い会社になるのにと考え、「じゃあ自分で作ろう!」と思って、3年前の私が40歳の時の元旦にこのサービスの企画書を書いたのです。
-確かにExcelだと運用が大変でタスク管理が続かない企業さんって多いですよね。
そうですね。私は上場企業といっても新興市場で社長をしていたのですが、正直なところ時価総額1,000億円以下の会社の組織力やITリテラシーって、そう変わらないんですよ。
このあたりが日本企業の平均的な姿ですし、統計的に見ても全従業者のうち約7割が中小企業で働いているので、その人たちに向けて使いやすいチームのタスク管理ツールを作ろうと思ったんです。
今後、日本は労働人口が減っていきます。 そうなった時にGDPを維持しなきゃいけない、日本経済を維持しなきゃいけないとしたら、シンプルに「労働生産性を上げる」しかないんです。
私は、様々な会社の企業再生を通じて、「中小企業はなんてチームで働いていないんだろう」というのを体験してきました。この「組織を組織にする」だけで会社の業績が上がるなら、多くの人がチームのタスク管理をやり始めるんじゃないかと思い、とにかく誰でも使い続けられる簡単なタスク管理ツールを作ろうと思ったのがきっかけです。
–ここまで事業を伸ばしてこられた要因ってどこにありますか?
「スーツアップ」は2024年4月にベータ版をリリースし、今年の春に正式版をリリースします。なので、現在は主にシステム開発をしています。ただ、ベータ版のサービス開始からすでに8ヶ月が経ってますので、主なターゲットである中小・中堅企業の皆さんにも、また、上場企業や大手の会計事務所などのようなITリテラシーの高い人にもちゃんと使っていただいていますね。
表計算ソフトのようなインターフェースの開発は、シリコンバレーと同じような開発の難しさなのですが、弊社はエンジニアのメンバーが非常に優秀なので、どうにか実現できています。やはり事業を拡大するには優秀なエンジニア集めがポイントだと考えています。
-ありがとうございます。優秀なエンジニアが採用できているというところがポイントですよね!
CTOの上原は、いろんな会社のスタートアップのCTOをやってきたスーパーエンジニアです。彼は優れたプロダクトを今までもいっぱい作ってきているけど、残念ながらビジネスとしてはなかなか成功できていなかったようです。なので、彼には、自分のエンジニア人生の中で、何億人、何十億人というユーザーが使ってくれるようなプロダクトを作りたいという想いがあります。弊社の経営陣はみんなアラフォーのビジネス面で優れた実績のあるメンバーで、それこそ弊社は「大人のスタートアップ」なので、多くのエンジニアが一緒に働きたいと言ってくれます。
-これから事業を伸ばしていくにあたって課題になりそうなポイントはありますか?
「スーツアップ」は中小企業をターゲットにしてるんですけども、中小企業って一言で言えるほど画一的じゃないわけです。ITリテラシーも全く違うし、業種・業態も違うし地域性もあるだろうし。価格感応度も高いと言われて、ちょっと値上げとかするとそのサービスが解約されてしまう。今後はプロダクトができた後のマーケティングや営業の準備をしていかなきゃいけないと思ってますね。
-確かに営業的な部分はこれから作っていく部分ですもんね。企業が「スーツアップ」を導入した後に課題になりそうなことはいかがでしょうか?
そうですね。これはタスク管理ツールに限らないかもしれませんが、システム導入時の問題は運用が続かないこと、社員みんなが使い続けることができないことです。これについては、私も過去にたくさんの会社のシステムの導入や運用をしてきているので、シンプルな解決方法を教えています。
タスク管理ツールを導入しようとする企業は、上司が部下に対して「チームのタスク管理をします。各自、このツールに入力するように!」って言うんですけど、これでは部下の入力は続きません。私の過去の経験からの解決策は、週に1回しっかりとチームの定例会議を行って、その場で必ずタスクの設定やタスクの進捗確認をすればいいのです。
これは難しいことではないのですが、上手くいかない会社は上司が管理したくないからか部下の自主性に任せて「あとはヨロシク!」と丸投げしてしまうのです。組織を正しく運営するにはちょっとだけ手間暇をかけないとならないのが実態なんですよ。
よく日本人はマネジメントが弱いって言われるんですけど、面倒だからって雑に部下に投げちゃうんですよね。でもそうなると上司が管理の仕事をやってないという話になります。だからこそ、管理の仕組みや作業など管理そのものはとにかく簡単にすることが大事で、しかも、その場で、みんなでやっていくことが大切だと考えています。
–小松さんが経営をする上でこだわっていることはなんでしょうか?
私はクライアントにもよく言うんですが、経営で大事なことは「凡事徹底」だと思っています。当たり前のことを当たり前にすること。これが組織力であり、ケイパビリティだと思っているんですね。
社内にいる人たちに「この仕事はやった方がいいよね」という共通理解があればちゃんとやった方が良いですし、そのタスクに担当者や期限をしっかりと決めれば良いと思います。弊社の「スーツアップ」は、このような「凡事徹底」を簡単にできるようなツールで、まさに自分の経営哲学をプロダクトにしています。
後輩経営者からも聞かれるのですが、やっぱり「本当にやりたいことをやるべきだ」と伝えています。本当にやりたいことが見つかるまで焦るべきじゃないと思います。私は自分の後半人生をかけたいと思うテーマ、つまり今回の「スーツアップ」の事業構想に出会うまで20年ぐらいかかってるんですよ。
ちょうどここで上場企業の社長を辞めて10年で、この10年は主に経営コンサルティングをしてきました。これまでも様々なお仕事をさせていただき、おかげさまで実績も作らせていただきましたが、ここで自分の人生をかけてやりたいことに出会えたのは本当に幸せだなと思います。
もちろん事業の立ち上げですから、苦労もたくさんありますし、これからもあると思います。しかし、そういった苦しい時に頑張れるかどうかって、その仕事が本当にやりたいことかどうかだと思うんです。
起業ブームも全体的には良いことだと思いますが、目先のお金が欲しいとかで起業する人も増えてきていると思います。人生は一度きりしかありませんから、本当に自分の人生をかけてやりたいことが見つかるまで、焦らなくても良いんじゃないでしょうか。
-確かに20代の子たちの起業は多いですよね。起業まで行かなくてもフリーランスになりたいとか。
上場企業を作ると言ってスタートアップを作りたい起業家もいると思うのですが、上場企業は創業から10年くらいあればできるわけです。人生100年時代ですから、20代の起業家が焦って心から熱中できない事業を興す必要はないと思います。別に30歳、40歳、50歳になっても10年あればできるので、本当にやりたいことを探して欲しいです。
弊社は「大人のスタートアップ」なので、キャリアが高いメンバーが私の夢やビジョンに共感してくれて参画してくれていることに本当に感謝しています。システム開発に今ちょうど丸3年かかっていて、春に「スーツアップ」は正規版になって、これからも機能はいっぱい増えていきます。
私たちは株式上場を目指していますが、これに10年ぐらいかかるとしても、私たちが本当に解決したい日本の社会課題、人口が減っていくため中小企業の労働生産性を上げなければならない。このテーマは、きっとさらに20年、30年と解決までかかると思うんですよ。
なので、これから長い時間がかるので、私たちは既にいい年の大人なので「健康に留意しましょう!」っていうのは思うところですかね(笑) 健康第一でやらないと長く働けません。スタートアップなので無理しなきゃいけない時もあるでしょうけど、無理しないで働いて欲しいなって思っていますね。
中小企業の労働生産性を上げたいと思っています。チームのタスク管理ツール「スーツアップ」でこの問題解決をしたいと思ってます。一人でも多くの人が弊社のプロダクトを使ってくれることを期待もしてるし、夢にしています。
それこそCTOの上原のように、10億人などの億単位のユーザーに使われるプロダクトを作りたいという夢を持って参画してくれたメンバーもいるので、日本国内だけじゃなく、世界中の会社やチームの労働生産性を上げたいと考えています。
▼経営支援クラウド「スーツアップ」
経営支援クラウド「スーツアップ」はチームでかんたん、毎日続けられるプロジェクト・タスク管理ツールです。表計算ソフトのような操作で、チームの業務を「見える化」して、タスクの抜け漏れや期限遅れを防ぎます。