エクネス株式会社 平井 康之
今回は、代筆・食品ロス領域の事業で活躍をされている平井様のビズストーリーをお届けします。
- こんな方におすすめ
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・マンパワーの仕事をロボット化させたい方
・新規事業のアイデアに困っている方
- こんなことが学べる
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・意外なところからメイン事業にできるものが着想できる
・経営者の中長期的な目線の大切さ
エクネス株式会社 平井 康之
今回は、代筆・食品ロス領域の事業で活躍をされている平井様のビズストーリーをお届けします。
現在は「ロボットレター」と「ロスヘル」の2つの事業を展開しています。
ロボットレターは、「ロボットがペンを持って手紙を代筆する」というサービスになります。元々は15名程度の書き手を抱えて、全国の個人や法人から手紙やハガキ等の代筆依頼を受けるというサービスをしていましたが、事業拡大スピードを向上させるために人による代筆からロボットによる代筆サービスに切り替えました。
ロスヘルは、サイズが基準外だったり、曲がっているような「規格外野菜と呼ばれる野菜を全国から集めて、パックにしたあと全国の一般家庭へお届けする」というサービスになります。日本で1年間に発生する約523万tの食品ロスを減らすことで生産者を笑顔にすることができますし、美味しい野菜を安く買えることで消費者も笑顔にすることができますので、会社として力を入れている事業になりますね。
–ありがとうございます!代筆事業はどういう経緯でスタートされたんですか?
創業して1ヶ月半ほどしたときに新規事業を10個くらい立ち上げたのですが、その時にたまたま私の母親が新聞を毎日書き写すという趣味を持っていまして、なんとなくおもしろそうだなと感じたところから10個の新規事業の中の1つとしてスタートしました。最初はおじいちゃんやおばあちゃんを集めて手書きでしていましたが、東京を中心とした企業から注文がドンドン来るようになりまして、人だけの力だけでは効率的にも難しいものがあると感じて機械化をしていきました。今は600台のロボットを稼働させて、月間15万通ほど書けるような体制にしています。
–ロボットへの投資は莫大な資金が必要なイメージですが、どのようにされていたんですか?
ロボットに2億円ほど投資しましたが、ほぼ自己資本で投資していたので当時はかなり赤字でしたね。3年ほどはずっと赤字でしたが、4年くらい経ったあたりから黒字化してきました。ありがたいことに誰もが聞いたことあるような名だたる企業とお付き合いさせてもらって、その売上を使って「ロスヘル」の事業を始めたような流れになります。
ロスヘルに関しては、今年の5月で丸2年になりますがまだ黒字化できていないので、あと1年ほどで黒字化させたいなと考えています。
「売上や利益より、社会貢献を考えていきたい」と考えるようになったことがきっかけです。
元々10年ほど会社員をしていて、銀行やIT企業で売上や利益を追い求めて仕事をしていました。目標は達成できていましたし、それなりに売上を伸ばすことはできていましたが、「これってなんのためにやっているのかな」と思うようになり、そこから全く興味がなくなってしまったんです。そこから「自分のやりたいこと、興味があるものはなんだろう」と考えたときに、「世の中の役に立つ仕事・社会問題を解決する仕事」に行き着いて起業を決めました。
–なるほど…!経営する中で売上や利益は大事だと思うのですが、社員のみなさんに売上や利益を上げてねみたいな話はされないんですか?
売上や利益を上げないといけないことは明白なので、その話はもちろんします。
ただ、「売上のために事業をするのではなく、世の中の役に立つために事業をしているんだよ」という話を常々するようにしています。儲けるために事業をするという意識ではなく、世の中の役に立った対価としてお金をいただいているという意識を忘れないようにと教育しています。
多くの会社はとにかく売上をあげようという意識だと思います。それが現実を見たときに大切ですし、売上がないと企業運営ができないことは事実です。そういう目線だと私の話は綺麗事にしか聞こえないかもしれませんが、私はその綺麗事を大切にしたいと思っています。
–ここまで事業を伸ばしてこられた要因ってどこにありますか?
「世の中の役に立ちたい」という気持ちを持ち続けたことですかね。
特に変わったことは言えないですし、変わったこともしてきていないですが、その気持ちを持ち続けてきたからこそ的確な経営判断ができてここまで来られているのかなと思います。
-これから事業を伸ばしていくにあたってやった方がいいこと・効果がありそうなことってありますか?
「中長期的な目線で経営判断をしていくこと」ですね。
今だと採用に力を入れていて、この4月に今年初の新卒社員として2人入社してくれましたし、来年は新卒を10人採用すると決めて動いています。その他で言うとエンジニアも採用しようと考えてます。そのように目先だけではなく長い目で投資をしていくことで継続的に成長できる会社になるのかなと思います。
–新卒社員が入社してくれると社内もさらに活気が出そうですね!中長期的な目線で他にアプローチしていることはありますか?
そうですね。昨年は1年間で20件〜30件ほど学校で公演活動をしました。お金にはなりませんが、そういうことを1つ1つ確実にやっていくことが大事ですよね。普通は中々できることではないですし、私も難しいなと感じる場面はありますが、辞めることはないと思いますし無理してでも続けていくつもりです。黒字だろうが赤字だろうが関係なくて、余裕が出てきたらしようと思っていたらいつまで経ってもできないですし、まずはそこにチャレンジしてモデルケースを作っていきたいですね。
–平井さんがお仕事をする上で大切にしていることはなんでしょうか?
「誠実でいること」ですね。
時間を守ることや嘘をつかないこと、挨拶をきちんとすることは仕事どうこうではなく人として大事なことなので、常々社員に話すようにしています。時間を守ることは基本ですが、万が一1分でも遅れるのであれば連絡を欠かさず相手の時間を大切にすることや、気持ちの良い挨拶をすることを意識することで円滑に仕事も進んでいくと思います。弊社の行動指針の1つとして「能力より信頼関係」を掲げていますが、社員のみんなにはその指針の体現をしてもらいたいので毎朝復唱しています。
船で言うと「航路を決めて先導していく役割」ですね。みんなが全力で突き進めるように進む方向を決めてあげることが社長にとって大切な仕事だと思います。
–色々なご経験から他の社長へ気をつけるべきことや落とし穴になりそうなことがあればアドバイスをください!
先ほどお話しした内容にはなりますが「目先の売上に気を取られすぎないこと」です。
今期の売り上げとか目先の売上にどうしても目が眩んでしまいますし、そうしないと会社を続けられない状況もあると思います。ですが、そこでグッと堪えて「本質的にこれで合っているのか」「3年後、5年後のためにこの判断は正しいのか」と冷静に考えて判断していくことが社長にとって必要な要素だと思いますね。
「心理的安全性を極めていきましょう」ですかね。
先日アフリカに行ってスラム街等も見てきたんですけど、アフリカと日本では「家族の在り方」が全然違うなと感じました。日本では1つの家に1つの家庭が住むことが当たり前ですし、アフリカでは1つの家に2〜4つの家庭が一緒に住んだりしていて、「この地域の人たちみんな家族だよ」という雰囲気を感じました。また、貧困層の方々もお金はなくてもみんな幸せそうに生活をしていて、ある程度生活が満たされていても仕事の不満やマイナスな言葉が多い日本とは解釈の根本が違うなと感じました。
会社のメンバーに「家族」という言葉を使うと大袈裟ではありますが、辛いことも楽しいことも共有し合えて心理的安全性の高い会社にしていって、そこから地域や社会を巻き込んで行けるようにしていけたらなと思っています。
「1兆円企業にすること」ですね。
これは売上が大切なのではなく、あくまで世の中をどう良い方向に持っていくことができたかという目線で達成したいと考えています。そのための施策として次はエネルギー関係の事業として「バイオガス発電」をやっていきたいなと考えています。弊社はまだまだ世の中を変えられる力はないですが、いずれは世の中を変える1兆円企業にしたいですね。
あとは「ものを長く使う」ことを意識していきたいなと思います。
GAFAの1つの創業者さんは「従業員が600人を超えるまでは壊れたドアを机にして使っていた」らしいんですよ。私もそれを見習って創業時に買った机を今でも使っていますし、パソコンも6年ほど大切に使っています。儲かっているからといってドンドン新しいものを買うのではなく、初心を忘れずにものを大切にすることで環境問題への解決に近づきますし、目標の1兆円にも近づいていくのではないかと思いますね。
平井さんありがとうございました!
お母様のご趣味を事業化したというビズスト内でも初めてのモデルケースでとてもおもしろく、興味深いお話ばかりでした!人の手で代筆していたところから2億円を投資してロボットを導入することで大量生産を可能にしたという経営判断もそうですが、新卒採用を始められたことに関しても、まさに「中長期的な目線で判断する」を体現されているのだなと感じました。
みなさんも平井さんのように中長期的な目線で経営判断していくことを意識してみてはいかがでしょうか!もちろん、状況によっては目先の売上が大事な場面もあると思います。だからこそ一旦グッと堪えて冷静にどちらを優先するべきか考えてバランス良く判断していくことが大切なのではないかと思います!
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