ビズスト|BIZ STORY

 

日本発、世界へ 航空機産業に新風を吹き込む壮大なプロジェクト

スカイリンクテクノロジーズ株式会社 森本 高広

今回は、飛行機開発領域の事業で活躍をされている森本様のビズストーリーをお届けします。

こんな方におすすめ
・次世代型のものづくりに興味がある方
・飛行機や車の次の可能性に興味がある方
・海外が強いサービスに参入していくことを検討している方
こんなことが学べる
・長期プロジェクトの仲間集めと進め方
・既存サービス×既存サービスで新しいものをどのように考えるか

災害時の救援・救助をエアモビリティで解決する

事業内容について教えてください。

私たちは空飛ぶクルマ、垂直離着陸航空機、次世代のエアモビリティを開発していく会社です。

-ありがとうございます。実は私、飛行機が大好きなんですけど、貴社の場合若干普通の飛行機とは違うのかなと思っていまして、どのようなものをイメージしたら良いでしょうか?

垂直離着陸ができる「エアモビリティ」ということで、その場で飛び上がっていくので、わざわざ空港まで行かなくてもいいんです。今までは飛行機に乗ろうと思ったら、空港に行ってチェックインや荷物の預け入れ、保安チェックなどで長い時間がかかるじゃないですか。行くのも大変だし、空港に行ったら行ったでとっても時間がかかってしまいますよね。ここの辺りがまるっと解消されるのが弊社が開発している次世代のエアモビリティです。

条件はありますが垂直離着陸ができるので、いろんな場所から出発ができます。街中やビルの上、実際に案として出ているお話としては、道の駅などの観光地。本当にいろんなところに手軽に行ける交通手段になってきています。

-だから災害時にも活躍できるってことですね!

そうですね。災害があった時は学校が避難所になることが多いので、垂直離着陸ができると学校のグラウンドに降りることができます。そして我々の開発している機体の特徴としては1,400キロもの長距離飛行が可能で、東京を起点とすると北海道や沖縄まで飛んでいくことができます。「1,400キロ」は東京から出発して、北海道や沖縄まで飛んでいけるぐらいの距離になります。

-普通の飛行機と変わらないですね。

そうなんです。「今後起きる災害はめちゃめちゃ大きい!」って言われてるじゃないですか。そうした時も、日本海側や北海道、日本全国からどこでも救援物資を運んでいくことができます。避難所に行って怪我人がいたら、怪我人を乗せて被害の少ない地域まで戻ってきて治療ができるみたいな使い方ができるんですよね。

さらにスピードという点でも時速650キロという新幹線の倍の速度を出せるのが特徴です。だから移動時間を短縮すること自体も可能なのですが、垂直離着陸ができるので、飛行機に乗るまでにかかっていた時間すらも解決することができます。

「移動時間を極限まで少なくして、自分のやりたいことをに時間使ってくださいね」というのが災害が起きてない時のメインの使い方になるんですけど、これだけ距離もスピードも出せるので、災害時においても全国から救助や救援に向かうなど様々な場面で有効活用できると思って開発を進めています。

-移動時間を減らせるという観点では読者の皆さんでもある経営者の方にはおすすめですね!

とても便利だと思います。私は神戸にいるんですけど、神戸から東京まで行くのに乗り換えを含めたら3時間半〜4時間ぐらいかかってるんですよね。新幹線だけで2時間ちょっとかかっています。それが乗り換えなしで、先方のビルの屋上に降りることできますよ。ってなったら、今まで3時間、4時間かかってたのが1時間で済むことになります。

お客様先で重要なお話をして、空いた時間であわよくばおいしいものでも食べに行ったり(笑)仕事をガンガン詰め込むこともできますし、時間ができる分、その土地にある面白いことや楽しいこと、美味しいものとかも楽しむこともできますよね。

-確かにそうなってくるとビジネスだけではなく観光の時間もできて、より経済が周りそうですね!

観光の幅は確かに広がりますね。私は旅行が好きなので、出張に行った時に、その土地の良いものを見たいとよく思うのですが、その場所へ行く時間をとることが難しいんですよね。空飛ぶクルマで「もうちょっと遊びたいのにな」を解決できるような未来が実現できると思っています。

 

起業された背景を教えてください。

元々のきっかけは、東日本大震災です。震災がベースの考えにあって「次に大きな災害が起きた時に役に立つ製品を作りたい」って思っていました。空飛ぶクルマというか、次世代エアモビリティの開発は世界中で進んでいます。しかも最初は世界も日本も「空飛ぶクルマ」という名前だったんですよね。クルマって言いながら、エアモビリティなので飛行機なんですよ。なので製品の分類上は「航空機」になります。

車であれば、日本はとても強いんですよね。誰もが想像できる自動車メーカーがありますが飛行機は弱いんです。旅客機みたいなのはなかなか世に出せてません。そのような中で、次の交通手段として空飛ぶクルマという航空機がどんどん存在感を出せると日本の産業はもっとすごいものになると思います。

世界に勝てる航空機プロジェクトを日本の中で立ち上げたいと思ったというのもスタート地点ですね。あとは、こういったプロダクトが自分自身も欲しかったからです。男の子なんて大体皆飛行機が好きですよ。飛行機やりたいなと思ってた中で、面白そうな飛行機の開発プロジェクトの波が世界中で立ち上がったので、これはちょっとやってみんといかんでしょう!ということで始めたのが起業の背景ですね

事業成長の秘訣は仲間集めができているから

競争優位性について教えてください。

ここまで事業を伸ばしてこられた要因ってどこにありますか?

私たちは航空機の開発研究がメイン事業になってくるんですけども、支えてくれる仲間がいっぱい集まったのがここまで来れた要因だと思っています。

私たちの作る未来に「面白いね」って共感してもらったり、「こういう飛行機作りたいんですよ」って言った時に、「この飛行機だったら現実性もありそうだし、性能も出そうだし、面白いよね」って言ってくださって、力貸してくれる方もいらっしゃいます。

みんなが面白いなって思ってくださるポイントをお伝えして、賛同者が集まってくださったことで良い流れを作ることができたと思っています。

成長ドライバーについて教えてください。

-これから事業を伸ばしていくにあたって課題になりそうなポイントはありますか?

仲間集めはこれからも続けていきますが、課題にもなります。今まで日本を中心にやってきたんですけど、これからは世界にも目を向けて仲間集めをしていく段階に入ってきたなと思っています。あとはスタートアップあるあるなんですけども、集まってくださった仲間と一緒にプロジェクトを進めるための資金調達が課題になってくるかなと思いますね。

-確かに海外との接点は増やしていけると良いですよね。海外からも出資したいという企業や投資家も多そうですね。

先ほどお話した通り、日本は航空機開発に弱く、海外がメインなんですよね。部品を作る会社や、エンジンを作る会社も海外を絶対避けて通れないプロダクトなのが「エアモビリティ」です。ただ、ものづくりに関していえば日本の技術はトップクラスだと海外の企業も投資家もよくよく知っているので、出資したいという声をいただくことはあります。

僕は一緒に働いてくれる方も、部品を供給してくれる方も、出資してくださる方も協力者と呼んでいるのですが、全世界でこのプロジェクトの協力者が絶対必須になります。なので興味のある方は国内外関わらずどんどん問い合わせていただけると嬉しいですね。

起業する方へ「夢と現実のバランス」が信念・哲学

森本さんの考える『経営』について教えてください

森本さんが経営をする上でこだわっていることはなんでしょうか?

まずは「誠実」に、そして「夢と現実のバランスを取っていく」ことを大事にしています。

誠実というのは、ビジネス以外もですけど、何かをするにあたって基本になることかなと思っています。

「誠実」とも関連しますが、「現実と夢とのバランスを取る」というのは、実現できるかわからない大きな夢を語ってお金や人を集めるのではなく、自分がちゃんと実現できそうだ、できるよねというバックグラウンドを納得してもらいながら、事業を進めるということを意味しています

実現できることを積み重ねていくことで、皆様のお役に立てる未来に繋がっていくのだと思っていて、僕の経営におけるこだわりですね。

色々なご経験から、起業当初(社長就任当初)の自分に対して、気をつけるべきことや落とし穴になりそうなことがあればアドバイスをください!

「まぁいいか」って思った時に、それをそのままにしてしまうと必ずしっぺ返しが来ると思っています。大体しっぺ返しがくるんです……ということを気をつけて日々生活をしてるつもりなんですけど(笑)

社長業をやっていると結構な作業量に追われることになるので、「これちょっとぐらいいいかな」「なんとかちょっとスルーしたいな」って思ったりすることがあるんですけど、大体回り回って返ってきますね。なので、「まぁいいか」は危険だと心に留めておいて、動くようにしています。

-それって「まぁいいや」って思う時に「もうやらない」という選択をした方がいいのか、思った瞬間に「ちゃんとやる」という意思決定をした方がいいのか、それってどっちが多いんですか?

「まあいいや」って思うことはやっておいた方がいいと思います。判断の1つにしているのですが、めんどくさいなって思ったことは「やる」箱に、嫌だと思ったことは「やらない箱」に入れるなどして対応しています。

メンバーに「本当は伝えたいけど、伝えられていないこと」

飛行機の開発は、非常に壮大なプロジェクトです。期間でいうと10年以上かかりますし、プロジェクトの規模で言うと、数千億円の開発費が必要になってきます。なので、とっても高い山を登っていこうというプロジェクトなんです。

今はまだ登り始めているところなんですけど、エベレストより高い山を登っていくので、1人じゃ絶対頂上までたどり着けないですし、みんなの力が必要です。

しかも次世代エアモビリティということで、本当に誰も入ったことのない高い山に登ろうとしています。ガイドがあるわけでもなく、地図があるわけでもない。何が起こるかわからないのに一緒についてきてくれてる今のメンバーに、本当に感謝してます。

こんな壮大な夢を一緒に歩いてくださってるみんなに本当に感謝してます。

今から想像もつかないことが色々と起こると思います。森の中を突っ切っていく必要もありますし、吹雪の中を行かないといけないもあると思います。1歩1歩確かめながら進むため、歩みが遅いこともあるかもしれませんが、できたら今のみんなと頂上からの景色を見たいので、最後までついてきてくれたらなと思ってます。

これからの夢や目標を教えてください

先ほども伝えた通りこのプロジェクトは非常に壮大です。私たちの機体はスピードと距離に自信がありまして、かなり競争力の高いとっても良い飛行機を作っています。

それこそ世界に勝てるプロジェクトだと思っております。このプロジェクトをみんなと一緒に最後までやりきるのが私の夢です。皆さん、よろしくお願いします!

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スカイリンクテクノロジーズ株式会社

CEO 森本 高広

神戸商船大学卒業後、川崎重工業株式会社に入社。 二輪部門にて設計、社内情報管理システムの構築、社内展開に従事。 同社車両部門に異動後、ニッケル水素電池の設計および電池を利用した小型電動車両(EV)の研究開発に携わる。 2016年、「空飛ぶクルマ」開発を目指して、ジェットエンジンや自動運転車システムのエンジニア、航空機パイロットら約40人が集結した有志団体「P.P.K.P」(パーソナルプレーン開発プロジェクト)を設立。 さらなる開発を進めるため、2019年にスカイリンクテクノロジーズ株式会社として法人化。 空飛ぶクルマ(VTOL機)の研究開発を行っている。
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