ビズスト|BIZ STORY

 

「缶詰カレー」石狩市を盛り上げるために三足の草鞋を履く

有限会社鈴木技研工業株式会社・株式会社イシカン 鈴木 圭一

ビズストーリー編集長の大田原です。
「社長」による「社長」のための「社長」ストーリーをお届けするのがビズストーリーです。たくさんの社長の方から、様々な視点での学びを得て自分だけのビズストーリーを刻んでいきましょう。

今回は、小売(設備)領域の事業で活躍をされている鈴木圭一様です。

こんな方におすすめ
・二代目、三代目で会社を継いだばかりの方
・地場産業に関わりたい方
こんなことが学べる
・新サービスの売り方
・社長としての出口戦略を考えるタイミング

石狩市の発展を石狩市ならでは「カレー缶詰」で解決する

事業内容について教えてください。

2社あるのですが、1社目の「鈴木技研工業」は主に食品機械やボイラー・プラントをメインに機械を作ったりしています。2社目は「イシカン」という会社で缶詰の会社をやっています。イシカンに関しては石狩市が缶詰工場発祥の町ということでそれを発信していくために立ち上げた会社です。まだ工場まではちょっと行けなかったので今はまだ企画販売をしている会社になっております。

-ありがとうございます!2社あるということで色々なご経験からお話しをお伺いさせてください!先に鈴木技研工業さんについてお伺いしたいさせてください。かなり社歴の長い会社さんだとは思うんですけど、創業と設立で少し間があると思ったのですが間に何かあったのでしょうか?

元々個人で先代がやっていました。その後法人化しようということで若干時間が空いているんですよね。そこから2018年に代替わりしました。

-そうなんですね、どういった経緯で代替わりされたのでしょうか?ある程度私の方で経営側もやるようになって、早いタイミングで変えようかということで変わったような感じですね。

-ありがとうございます。元々鈴木さんも社員として働かれてたんだろうなと思うんですけど、自分が経営に変わったタイミングで、何か大変だったことやこれは結構苦労したなみたいなことってありますか?

会社自体が従業員さんを入れてなかったんですよね。1人親方の方々と一緒にやっていましたが、僕が引き継ぐというタイミングで、従業員を入れないといけないとなりました。環境整備というか、そこが1番大変でしたね。

-具体的にどんなことが大変だったなと思ったことありますか?

例えば保険関係の整備が大変でしたね。従業員を入れるのに1人で対応していたのもあります。

石狩市を広めたいと思っていた経緯

-では石狩市を広めたいということで始められた「イシカン」さんなのですがどんなきっかけがあって缶詰をやろう!となったのでしょうか?

団体活動や地域の活動に出るようになってからなんです。法人化をして商工会議所には入ってたんだけど先代はそんなに出る方じゃなかったので、僕が出始めて色々な社長と会うようになった流れで青年会議所(JC)に出るようになったから地域のためにいろんなことをやり始めました。

やっぱり、起業したらそういった団体に入った方が広がるものですか?

絶対に入った方がいいです。同友会やライオンズ・ロータリー・倫理法人会とか色々あるんですけど、自分に合ったものでいいので間違いなく入った方がいいと思いますし、特に商工会議所は基本的には法人化したら入るものなので。そこから広がっていくところが大きかったです。若いうちはJCをやった方が間違いなく成長すると思います。

-ありがとうございます!私のオーナーもJC出身なのですが「行けるタイミングがきた時には絶対行った方が良い」と言われました。鈴木さんの中で参加したからこうなった!みたいなポイントはありますか?

そうですね、人脈というか交友関係が広がるのはもちろんなんですけどJCの仕組みが理にかなっているというか、きちんと事業計画を立てて議論をするんですよ。段階を踏んで決まった期限の中で上申して行ったりして流れも決まっているのですごく良い経験ができました。

-ありがとうございます。中にはお付き合いが長い方もいらっしゃると思うのですが仕事を一緒にやるのか、お仕事いただける方になるのかだとどっちもあるんですか?

ありますよ。それはJCに限らずありますが、あの団体に入る時に仕事がもらえるから入るっていう感覚で入るなら入らない方が良いですね。

-よくみなさんそうおっしゃるのですがなぜなのでしょうか?

なんていうのかな、人との繋がりというか。飲食店さんで「この店を使ってもらえるから入ろう」とかっていうことをやるとうまくいかないんだよね。

-ありがとうございます。取材を始めるよりも前に「商工会議所入った方が仕事もらえるから行った方がいいよ」ってよく言われてたのですが「そのために行く会なのか?」と思ってたので、しっかり人脈形成をする場と思って自分を磨くために行くと思った方が良さそうですね。

そうですね。そんなに簡単に仕事ってもらえるもんじゃないので、どんなに仲間でも、その人の性格や付き合い方が大事です。そこで仕事をお願いするかどうか考えますから。「会に入ったから仕事をあげるよ」という世界ではないです。それはどこの会でも一緒だと思います。

事業成長の秘訣は全て人との「縁」

どうやって企画して販売しているのか

-ご縁もあってイシカンさんで缶詰商品を作られていると思うのですが、企画から販売ってどのようにされているのでしょうか?新サービスを展開していく中でどんな企業さんも一度は考えるポイントかなと思うのですが…

売れないと意味がないっていうのは、お金的な問題ではなくて手に取ってもらえないと石狩市の缶詰だっていうことを理解してもらえないので、売れるためにどうするかっていうのはいつも考えてます。

-確かにお金的なところよりも、石狩市を盛り上げたくてやっている事業である以上売れないと宣伝にならないですもんね。

難しいですよね。値段もですけど大量生産ではないので、高くなるし原価も上がってる。そういう中で、どこをターゲットにしてどういう風に打っていくのか戦略も練っていかないといけないので難しいですよね。

-ありがとうございます。売り上げを作るっていう意味ではイシカンさんの販売というか営業活動ってどのようにされているのでしょうか?

1番最初に道の駅に置いてもらいたかったので、道の駅に先行して販売してもらったんですよね。実はそれ以外営業したことないですよ。そこから色々なところから引き合いがあって、知り合いでセブン-イレブンを経営されてる方が「店頭に置いてみたい!」とかいう話がありながら導入しているので、こちらから置いてくださいって営業したことはないんです。

-すごいですね。

そもそも小売業の仕組みを僕は分かっていなかったので、 営業の仕方がわからなかったんですよ。大量生産じゃないのでいっぱい営業していっぱい売れたから追いつくかとか、いろんな問題があって身の丈にあったところからのスタートでした。なのでお話いただいたら、条件が合えばお願いしますって言って、少しずつ増えてきたみたいな感じです。

-すごいですね。創業当初って営業活動しないと、会社の認知が取れないから、なかなか売り上げが作れないみたいな課題は多いじゃないですか。そんな中でも営業せずに引き合いがあって置いてくれるのは人脈があるからこそできていることなのでしょうか?

そうだな、道の駅に置いた時にメディアが非常に興味を持ってくれたんですよね。「缶詰のカレー」っていうのも珍しいし、石狩が缶詰工場発祥の町っていうのも知らないし、そこにスポットを当ててくれたメディアが多かったです。新聞やじゃらんなどの雑誌関係やテレビなどが結構取り上げてくれたんですよね。だからそういう流れは強いと思う。

-なるほどな。独自の製品というところもあると思うのですが、鈴木さんがメディア関係に人脈があるとかではないってことですよね。

全くないです。

-そうなんですね。ちなみに小売業のことは分からないから営業できなかったというお話しだったと思うのですが、小売業をするに当たって勉強したことはあるのでしょうか?

商工会議所で繋がってる先輩とか、JCで小売業やっていた方に相談したね。値段設定とかも含めてどうしたら良いのかはすごい相談に乗ってもらいました。

-やっぱり情報収集するにしても人から人ってことですよね。

それは間違いない。もう必ず人なので全て人です。

成長ドライバーになるのは何か

-これをやったら事業が伸びそうだなと思うことはありますか?

やっぱり人じゃないですかね。結局人が増えないと売り上げ上がらないので。僕は社員を少しずつ増やしています。1番お金かかるのは人件費なんですけど、育てながら増やしていますね。

-時間がない中で人を育てなきゃいけないなってなってるとは思うんですけど、直接鈴木さんが教えているのか、他の従業員さんが教えているのかだとどのようにやっているんでしょうか?

全体会議をやっているのでそこでは自分が色々説明したり会社の方針というのは1回説明して、あとは先輩従業員が他の従業員に教える仕組みになっています。

-ありがとうございます。全然違う業界から来ても、教えてもらえればできる状態ってことですよね。

今入ってきた若い2人は全く建設業でもなんでもない人間だったけど、やる気があれば勝手に育っていきますよ。

-そうですよね。気持ちが大事ですよね。

人の良さだけで採用しているので。お客さんに対して、当たり前のことができるかどうかを見ていますよ。

良い関係でいるために「お金」には注意‼

自身の経験から他の社長に「これは落とし穴になるぞ。注意しろよ。」というアドバイスをください

-鈴木さんは2社経営されていると思うのですが、経営してきた経験の中からアドバイスをいただきたいです!

職種にもよると思いますが、お金のことだけ言ってしまうと仕入れを安くしようとか、工事を頼むところも安くしてもらうとかっていう感覚が非常に強いと思います。ケチるって言ったら変なんですけど、お金を払う側だとしても商売だから、Win-WInでやっていけるところじゃないと長くは続きません。片側だけ負担がかかるようなことって相手もこっちのためにやってもらえなくなっちゃうので、商売をやっている以上感覚的に見極めてやっていければ良いと思います。

-逆に頼まれる側になった時、結構厳しいときは断った方がいいのか交渉した方がいいのかならどっちになりますか?

お金の面で本当に厳しいならやめるべきですよね。1回安くやるとずっとその値段になるので自分の会社の価値をあんまり下げちゃいけないです。もちろん当たり前の相場感っていうのはあるんだけど、価値を下げてまでやるべきではなくて、無理なものは無理だし、身の丈にあった仕事をする。そういう仕事がしたいならそのために会社を大きくしていくことが大事じゃないかなと思います。 

「即行動」「お客さんのために」が信念・哲学

『企業哲学』について教えてください

-鈴木さんの仕事をする上で大事にしていることを教えてください。

1つ目は「即行動」です。まずやってみることが大事です。 「これやったらこうなっちゃうよな」ってよく言うじゃないですか。そうじゃなくて「まずはやってみようや」と、やってみて判断したら良いと思う。2つ目は「お客さんのために」です。お客さんのことを考えてみて、仕事をしていくということですね。

-ありがとうございます!1つ目の行動するっていう部分は社員の皆さんにも言われてるんですか?

そうですね。まずやってみなさいっていうのを言います。

-ということは会社に対して「こういうことやりたいんです!」みたいな意見をいただいたら「じゃあやってみて」というスタンスでされてるんですか?

あったらやってみてって言いますよね。もちろん確実にダメなものはありますけど(笑)そもそもやる必要のないこともありますが、基本的には全部僕はやるべきだしやってみて考えればいいですよね。

-すごくいいですよね。チャレンジさせてくれる環境であるっていうことが「とりあえずやってみなよ」って言ってくれる経営者って実際そこまで多くないと思うんです。そんな中で働けている従業員のみなさんは幸せですね。

鈴木さんの思う『社長』とは?

社長とは「全責任を取る役」だと思います。仕事の考え方って、分業だと思っているんです。大昔は狩猟をやってたとか、弓矢を作る、料理を作るとか、それは生きていくためにみんなで分けてやってるっていう流れだと思うのですが、今も一緒で別に社長が偉いんじゃなくて、社長は社長で責任を取る役で、従業員さんは従業員さんだし、ただ仕事に対する責任の違いはない。経営者はそれだけ責任を取ることが大きいので対価をもらっているという考え方だと思ってるので、 僕の中では社員だから、社長だからという考え方はないです。なので僕は責任を取る仕事だと思う。

-ありがとうございます。確かに仕事をする上での肩書きは関係ないですね。

会社を大きくするためなのか、会社を存続させるためなのか、従業員も経営者も同じ方向を向いて仕事をするわけだからね。その役割が社長というだけです。もっと言えば、僕よりやってくれる社長がうちの会社やってくれてそっちの方がプラスで動くなら、僕はその人に譲るよ。

-ありがとうございます。鈴木さんが今後やっていく中で、次の世代に繋ごうかなって考える時があるってことですか?

僕ね、常に思ってる。

-え、そうなんですか!?

従業員も環境も良くなって、会社の環境が良くなるんだったら、全然僕じゃなくてもいいと思ってる。ただまだ僕じゃないと成り立っていない状況だから。そうじゃなくなれば、別に僕である必要はないわけだからそこはあんまり拘ってないよね。

-なるほどな。ありがとうございます。もしかしたら従業員さんの中から社長になる方がいらっしゃるかもしれないってことですよね!

全然ありえるね。

-すごく楽しみですね!

どうなんだろうね。責任取りたくないからならないんじゃないかな(笑)

-どうなんでしょうか?気になりますね。

会社によって何百万、何千万のお金が動くからそこで何かあった時っていうのは、自己資産を全部取られるリスクもあるから、そんなにやりたがる人はいないと思うな。

-そんな中で「会社をもっと良くしてやってくんだ!」っていう人がいたら、すごいかっこいいですよね。

これからの夢や目標を教えてください

今新しい事業をやり始めているので、他の人にないものを開発できたり作れればいいなと思っています。会社を大きくしたいわけじゃないんだけど、従業員がある程度いてきちんとした企業として成り立てるような会社にしたいです。

まとめ

鈴木さん、ありがとうございました!先に取材させていただいたNCU合同会社の芳永さんからのご紹介でいただけたご縁だったのですが、私も地域は違えど旭川市を盛り上げたいという思いがあったので、実際に石狩市を宣伝するための缶詰を作られているというのはものすごい宣伝効果だなと思いました。何かを「製造する」という考えはなかったので新しい発見もあり勉強になりました。負けずに旭川市を盛り上げていきます!

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