顧客のデザイン・印刷に関する悩みを長年の経験と知識で解決する

事業内容について教えてください。
「グラフィックやウェブ等のデザイン全般の依頼を受けて納品する」という仕事をしています。
ご依頼の内容自体は様々ですが、中でも私が元々パチンコ店と言う特異な業界でデザインをしていたこともあり、そういった関係のご依頼を頂くことが多いです。
–ありがとうございます!得意としている派手なデザイン以外の依頼も受けられているんですか?
もちろんお受けしています。当然ですが、お客様がイメージされているモノをヒアリングし、それをカタチにします。
ずっとパチンコ店のデザインに携わってきたのでド派手なデザインに携わってきましたが、自分が好むデザインとは真逆で、本来はシンプルでキレイなものが好きです。
–なるほど…。グラフィック系だと「印刷までしてほしいです」という依頼もあるんですか?
あります。ただ、多くのお客様がデザイン制作だけをアウトソーシングし、その後の印刷はお客様自身で印刷会社にお願いして支出を減らそうとされます。ですが実は、印刷会社にデータを入稿するという作業が意外に手間や専門知識が必要なことが多く困っているという声を聞きます。
そう言った背景も考慮し、私は基本的に「追加料金は不要で印刷会社に入稿するところまで受けますよ」という形を取っています。
–私、前職で印刷会社のフランチャイズ店で営業していたんですけど、そういうお客様が多くて「お任せできるところであれば印刷も一緒にお願いした方がいいですよ」とお伝えしていました。
最近は、web広告が主流になっているためか、デザイナーでも印刷会社さんからの入稿条件などが理解できなくて対応が遅れると言った事も多いようです。
例えば「CMYK300以下にしてください」と指示されてもその意味がわからないとか。
私は元々グラフィックデザインを主にしていましたし、現場で施工作業などもしていたのでそういった経験を踏まえてご提案できるところは差別化になっているかなと思います。
–施工のところまで考えてデザインしていただけるデザイナーさんは希少な存在ですよね。
そうなんですかね(笑)
デザイナー側がそこまで対応できないとお客様はもっと分からないので、非常に困る結果になってしまうと思います。
デザイナーが製作だけで「施工のことは知りません」という対応だと、個人的には「お客様に対する配慮が足りてないな」と感じてしまいます。
デザインや施工に関することが全く分からないお客様でも「森本に相談すれば、施工の部分までトータルで提案してくれて、修正なども全て対応してくれる」となれば依頼する側もすごく楽になりますよね。
起業された背景を教えてください。
私は元々デザイン畑の出身ではなく、パチンコ店で「普通の店員」として働いていましたが、ある日突然デザインの仕事をすることになり、そこから独立したという流れになります。
詳しくお話しすると、先ほどもお伝えした通りデザインの勉強などは全くしたこともなく、むしろ「デザイン」に対して避けていました。
ただパソコン操作は得意で、エクセルなどは割と使いこなせていました。
そんな様子を当時の配属先の店長が知り、「エクセルが使える=パソコンで何でもできる」と過大解釈してしまい「お前、パソコン得意だからポスターも作れるだろう!イベントポスターが必要だから作れ!」と指示され、そこから当時名前も知らなかったPhotoshopというソフトを触ったのが始まりです。
–そこが始まりなんですね!
そうです。そこから「店舗のホールに出なくていいから事務所でそれ作っといて」と言われてひたすら事務所でデザインするという仕事を10年やり続けました。当時はYouTubeもないですし、オンラインスクールもなかったので見様見真似で作っていましたね。
その後少しずつパチンコ店が衰退していって、給料は下がるけど業務内容は変わらないみたいな状況になったので転職も考えました。ですがここから新入社員として転職しても給料的にも家庭を守れないかもしれないなと考えて、会社を辞めて独立したという背景になります。
–ありがとうございます!前職で何も知識がないところからデザインを始められて、最初はどのようなものを見本にしてスキルを身につけられたんですか?
正直ネタ元はどこにでもありました。ネットで検索して似たようなポスターを参考にしたり、近隣店舗に行って参考になりそうなものを探したりしていました。
あとは電車の中の広告や街の看板だったり、プロが作ったデザインを見て文字の配置やフォントの知識を溜めていきました。
–弊社でも営業からデザイナーにジョブチェンジした子がいますが、その子にも電車や街中でスマホを見るのではなく広告を見て勉強するところから始めようという話をしました!
結局はそこから始まりますよね。
そうですね。スマホの中にもデザインは散りばめられているのでスマホを見るのもいいですが、どのような意識で見るかによって全然違うかなと思います。
私の場合は街中をよく見ていましたね。フォントが好きなのでフォントに注目して「今はこのフォントが流行っているのかな」とか考えながらメモをして実際に自分のデザインにも組み込んだりしていました。
従業員とは違う「仲間」の存在が事業成長を後押し
競争優位性について教えてください。
–ここまで事業を伸ばしてこられた要因ってどこにありますか?
3つあるなと思っていて、1つ目は「謙虚さを忘れないこと」2つ目は「過度な利益を求めないこと」3つ目は「仲間」ですね。特に3つ目の「仲間」がすごく大きいです。
私はパチンコ店でデザイナーをしていたこともあり、当初グラフィックデザインしかできなかったのですが、独立してからWebデザインにも携わるようになり、今ではWebデザインの割合の方が大きくなっています。
そのWebデザインができるようになったのは、ビジネスパートナーと言うと大袈裟かもしれませんが、フリーランスのエンジニアさんと出会えたことが大きかったです。
–具体的にお伺いしたいです!
フリーランスのエンジニアさんとタッグを組んで、例えば「Webサイト制作」の案件があれば私がデザインをしてエンジニアさんがコーデイングをする。報酬は2人で分けるというワークスタイルで案件に対応しています。
【デザインはできるけどコーディングができない私】と、【コーディングはできるけどデザインはできないエンジニアさん】とで1つの案件を共有することで、私としてもWEBデザイン・ホームページ制作等の分野に仕事の幅を広げることができました。
成長ドライバーについて教えてください。
–これから事業を伸ばしていくにあたってやった方がいいこと・効果がありそうなことってありますか?
従業員を雇って受ける案件を増やすことだと思いますし、常々従業員を雇いたいと考えてはいますが、なかなか実行に移せていません。理由としては、従業員を抱えないといけないほど事業を拡大できるという自信が自分にまだないからですね。
お客様は【私のデザイン】を見て依頼し、【私がデザインしたモノ】に対して納得し評価いただいてます。
仮に従業員を雇った場合、その従業員は【僕が作るようなデザイン】を製作しないといけなくなります。
当然ですが、僕にもその従業員にも「個性」があるので【人のデザインを作る】というのは非常に難しいと思います。
それであれば「従業員という仲間」ではなくエンジニアさん等の「ビジネスパートナーという仲間」を増やしていくことが大事かなと考えています。
「相手の立場に立つ」ことで顧客の思いに寄り添う
『企業哲学』について教えてください
–森本さんがお仕事をする上で大切にしていることはなんでしょうか?
「謙虚さ」と「相手の立場に立つこと」です。
–森本さんの中での「相手の立場に立つ」とはどのようなことでしょうか?
お客様は自分でデザインができないから依頼してくれるわけですよね。なのに巷のデザイナーさんはお客様に「イメージを擦り合わせるためにラフを書いてください」という要求をするという事をよく耳にします。
-とてもわかります…!私も印刷会社で働いている時、デザインの相談をもらってデザイナーに相談しても「ラフもらって」と言われてとても困りましたね…
でもお客様からすると「それができないから依頼しているんでしょ」となるわけです。普通に考えたらわかりますが、相手の立場にならないと意外に気付けない点でもあります。
なので私はお客様にかなりふわっとしたことしか聞きません。例えば「何色が好きですか?」とか「かっこいい系か可愛い系だとどっちですか?」くらいの抽象度で聞いて、とりあえず1回作ってみてお客様にお出ししています。
でも巷のデザイナーさんは、できるだけ工数を減らしたいのでこのような手順を嫌がり、できるだけ具体的なラフを要求するんですよね。
–その「森本さん流のやり方」が評価されて長いお付き合いにつながっているんですね!
そうかもしれませんね。お客様からすると「とりあえず森本さんにお願いしたら全部やってくれる」という気持ちが生まれて頼りやすさにつながっているのかなと思います。
ですが、私はこれまで我流でデザインをしてきていますし、デザイン学校とかにも通っていないのでデザインの基礎がよくわかっていません。それでもお客様が満足してくれるものを作れていて私にお願いしたいと思っていただけているので「相手の立場になる」仕事の仕方でカバーできているのかなと思います。
お客様が求めているものはデザインの知識だけではないということですね。
森本さんの思う『社長』とは?
「社会貢献できる人」だと思います。
資金力のある経営者はその資金を使って寄付したり社会に役立つ行動を取ることができますよね。なかなか普通の人ができることではないこともできます。
私も地元の地域おこしをしたいと思って会社を作っています。まだまだ日々生きていくことに必死な部分もあるので、大きな社会貢献ができる経営者ではないですが、今後そういう経営者になりたいと思っています。
–色々なご経験から他の社長へ気をつけるべきことや落とし穴になりそうなことがあればアドバイスをください!
「調子に乗らないこと」ですかね。
もちろん時には勢いも大事ですし、そこを否定するつもりはありませんが、常に「謙虚」でいることが何より大切かなと思います。
あとは「お金周りの管理はしっかりする」ことです。
経理関係がだらしないと会社としても経営者としてもだらしなくなってしまいます。
私も元々お金に関して詳しいわけではなかったですし、今も決算処理とかは税理士さんにお願いしていますが日々の経費の入力等は怠ったことはありません。
これからの夢や目標を教えてください
「社会貢献できる経営者になること」ですね。
何を持って社会貢献とするかはさておきですが。
今考えているのは「デジタルが苦手でよくわからないという方の一助になる」ことです。
–デザインに関してということですか?
そうです。今の時代、パソコンやデジタルなものが普及していますがよくわかっていない方はまだ多いと思います。比較的都心部から離れた地域にお住まいの方や、ご年配の方などは特に多いのかなという印象です。
例えば、町にあるポスターや広告を見ても手書きのものがあったり、すごく簡単に作られているものが多いですが、それってお金がかかりそうとか手間がかかりそうという理由で敬遠している結果なんですよね。
少しデザイン性のあるものにすればもっと伝わりやすくて見てもらいやすいものになるのにもったいないなと感じます。
そのような方々に「デザインはそんなにお金もかからないですよ」「デザインのことが分からなくてもこっちですべてサポートするから大丈夫ですよ」と伝えることで、少しでも助けてあげられるような存在になれたらなと考えています。
まとめ
森本さんありがとうございました!
今回はデザイン領域でご活躍されている森本さんのお話でしたがいかがでしたか?
元々のお仕事は業界としてはデザインに関係なくても、ご自身の努力と考え方次第で会社として事業を伸ばせるデザイナーになれるという事を証明してみせた、ある意味成り上がったようなお話に聞こえてとてもワクワクしました!
普通のデザイナーさんとは違う思考やお客様との付き合い方で差別化し、立場を確立されていて私としてもとても勉強になるお話ばかりでした。
知識や経験等に自信がなかったり不安な気持ちを持たれている方は森本さんの考え方を参考にして「自分ならではのサービス」を作ってみてはいかがでしょうか!
合同会社Morimoto Design Officeからのお知らせ
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