ビズスト|BIZ STORY

 

北海道旭川市から香りを通して幸せを届ける

グラース株式会社 早川 舞

ビズストーリー編集長の大田原です。
「社長」による「社長」のための「社長」ストーリーをお届けするのがビズストーリーです。たくさんの社長の方から、様々な視点での学びを得て自分だけのビズストーリーを刻んでいきましょう。
今回は、アロマ関連領域の事業で活躍をされている早川様です。

こんな方におすすめ
・地場産業で事業をしたいと考えている方
・これまでの経歴とは全く関係のない事業を考えている方
こんなことが学べる
・事業の作り方
・遠方にいる従業員との関わり方

現代社会のストレスをアロマで解決する

事業内容について教えてください。

はい。北海道旭川市でアロマテラピーのサロンとスクールを運営しています。北海道の針葉樹(アカエゾマツ)の枝葉を採集・蒸留・抽出し、その香りをブレンドしたオリジナルアロマ商品「はぐりら~Hug&Relax~」を製造、販売をしています。

-ありがとうございます!元々アロマテラピーをやろうかなと思ったきっかけはなんでしょうか?

15年ほど前なんですが、アロマに触れて心が明るく軽くなったことがきっかけです。その時は私自身の転職や離婚がとてもストレスになっていて、一晩寝れなくなってしまい顔中がボツボツになってしまうということがありました。それをきっかけにストレスというのは、1日でもこんなに人の体に影響を及ぼすんだということが分かったんですよね。その時にアロマに出会いました。興味を持ったのですぐに東京のスクールに通って資格を取って、旭川に戻りショップで5年ほど働いて独立しました。

-行動力がすごいですね!

はい。その当時の私のような人がたくさんいるのではないかということを考えて、そんな人の少しでも手助けになればと思いアロマテラピーを始めました。
-ありがとうございます。それまでの早川さんは別のお仕事をされてたってことですよね?
そうですね。元々バドミントンで高校大学と進学していて、青春時代は全部バドミントンに打ち込んでいたので辞めてしまったら私にできることって何もないんですよね。若かったので実業団に行かないのであれば普通のOLになってみたいなっていう憧れがありまして、最初に働いたのはブライダルの写真集の会社でした。

-全然違うお仕事ですね。

とても楽しく働いていましたが、突然会社が解散してしまいました。その後、結婚・離婚をしたので再度仕事をしなくてはいけないという時に、今まで打ち込んでたことを辞めてしまったら、私は何にもできないんだなということがストレスになったんですよ。それからはこれだと決めたことは辞めてはいけないと思い、今も続けています。

-行動力がすごい。自分で5年間アロマショップで働いて、独立するというのも自分の人生の中での大きな選択じゃないですか。立ち上げの経緯みたいなのってありますか。

そうですね。私のようにストレスで悩んでいたものがアロマで治って改善して明るくなって、前向きに生きれるようになる人って、たくさんいるんじゃないかなということを思ったんですね。病気の一歩手前だと病気じゃないのでわかりにくいところではあると思うのですが、アロマで改善したことがきっかけでそういった方の手助けになればと思った時に、やっぱり自分でその道を切り開いていきたいなと思ったからです。

-個人的な話になるのですが、一時期本当に寝られなくて事業どうしていこう・あれやらないとこれやらないととプレッシャーに感じていて早川さんと同じでストレスがすごかったんですけど、経営者の方にはよりおすすめですよね

はい。香りは0.2秒でダイレクトに脳に届くとされてるんです。まずは好き嫌いなどの感情が扁桃体という脳の部分に届き、記憶・体に伝わるという経路を持っているので、好きだなと思った香りを探していただくのが良いです!

最近は経営者に限らず「色々考えすぎて寝られない」という方が多いですね。昔は体力を使うような畑仕事をなど1日中走り回って疲れてという仕事だったのに、今は脳でいろんなこと考えたりデジタルの世界でいろんな情報が飛び交う時代なので、情報が多くていろんなことを考えてしまいますよね。 

-確かにそうですね。大人になればなるほどデジタル世界での仕事が増えて行ったり得られる情報も多くなってきますもんね。

そうすることで脳がフル回転してしまうので、いろんなことを考えすぎてしまうと思うんですね。そういったことで、良からぬ方向に考えたり不安になったりすることもあると思うので、一瞬で気分転換ができるアロマは良いなと思います。

立ち上げに至った経緯を教えてください。

最初はアロマのお店を立ち上げて1人でやってみようと思ったことがスタートになります。 独立して始めようと思った時に元々ショップに来てくださっていた産科婦人科病院のアロマの方々から「もっとおもてなしを強化したい」というお話をいただきました。出産したお母様たちにアロマでケアをすることをすぐに始めるようになりまして、スタッフを雇うようになりその事業をすすめていくうちに、私たちの住んでいる北海道の「自然の香りを作り出したい」というふうに思うようになって、「はぐりら」などの商品ができていったという経緯です。

 

-なるほど、そうなんですね。元々のお客さんからのご依頼って嬉しいですよね!

そうですね、私がショップで働いた時から「アロマを産科婦人科病院で取り入れたいんだ」っていう相談をいただいていて、私もたくさん調べて勉強をしましたし、 一緒に札幌のスクールに通いに行ったり連携を取らせていただいていました。それもあって病院のお客様をケアするという面で強化したいということに共感しまして、何かアロマでできることがあればと思って、コラボレーションしたというのがきっかけですね。

-すごい!早川さんのその行動力ってどこから来てるんですか?

アロマで自分のいろんなことが改善したものですから、これをたくさんの人に伝えていきたいと思っていたので、アロマでできることだったらなんでもやりたいと思っています。妊娠中・出産時やその後のベビーマッサージ教室も開催しています。女性は更年期も待っていますし女性の一生にアロマが役に立つと思ったのでシーンごとにできることをやってみたいなと思いました。これなら女性たちのサポートができると思いました。


-ありがとうございます!思いの強さからくる行動力なんですね。

 

事業成長の秘訣は地場産業とのコラボ

競争優位性について教えてください。

-どのようにしてここまで事業を伸ばしてこれたのでしょうか?

そうですね、1つ目は産科婦人科病院とのコラボレーションでアロマケアという独自のサービスを始めたことです。2つ目は北海道の自然に着目して、地元の森のアロマを作って発信したことです。地域のためになりアカエゾマツの枝葉をアロマにしているんですけど、本来であれば木を切った際に廃棄している部分を有効活用することでSDGsの実現をしています。

-廃棄部分を使っているんですね!確かにSDGsですね!

そうなんですよね。アカエゾマツの枝葉から作った香りに人を癒す森林浴効果がありますので、新たなその価値を創造して生み出したことが良かった点かなと思っています。

-ありがとうございます。ちなみに北海道の香りを届けるって意味では、その木を使うために何か申請とかして使いますみたいな感じになるのかなと思うのですが、そういった自然を使った事業をやるに当たっての壁みたいなのってありましたか?

そうですね、まず会社名の「グラース」というのが南フランスの天然香水の都と呼ばれる町の名前で、そこに憧れて店の名前を付けたんです。香水の街に憧れてフランスに訪れて、国際香水博物館や香水工場があったりしてとても魅力的な街だと思ったんですけど、帰り道に周りを見てみると、生まれた町(北海道)とそっくりだなと感じたんですね。

アロマテラピーの原料というのは植物であるのに、外国への憧れとグラースへの憧ればかりで周りの植物や自然に着目していなかったことに気づいて帰ってきた時点で反省に変わりました。旭川には何もないと思っていたけれども自然がたくさんあったなということを考えて、森を知ることからまず始めてみようと思って動き出しましたが山に勝手に入ってはいけないので、確かにこの点はとても苦労しましたしどうやって材料を調達したらいいんだろうと思いましたね。

-フランスに北海道に似ている街があるんですか!行ってみたいですね。そこからどのようにやってこれたのでしょうか?

そんな時に「ビジネスプランコンテスト」と言って道北で行われているもので「こんな事業をしたいよ」ということを発表して評価していただくものがありました。そこに出て賞をいただいたことで、協力してくださるところも増えたりメディアに取り上げていただいたことから、少しずつ協力していただけるところができて、旭川の近郊の山でも枝葉を提供していただける場所ができたんです。私のほかにスタッフが3人いるんですが、自ら取りに行って枝葉を切らせてもらい蒸留といって釜に入れて沸騰させるんですけれども、蒸気を冷やすとアロマ(精油)が得られるので、自らやってみようということになりました。

-地域のみなさんのご協力もあって、今はいつでも山に入って枝葉を取りに行ける状態ってことですよね。

そうですね。何ヶ所か協力していただける山がありまして、本来は枝葉があることで光が入らなくなってしまって森自体の成長を妨げてしまうので枝打ちということをやったりするんですけど、森の改善にも役立ちたいと思っていますし、廃棄している部分にも価値を見出したいと思っているので、少しでも感謝の気持ちを込めて自分たちで行って商品を作り出すということに決めています。

-すごいです!製造過程に携わりたい人がいっぱいいるような感じがしますね。

そうですね。手伝ってみたいですとかやってみたいとか、言われる方はいらっしゃって実際に手伝っていただける方はとても増えました。

成長ドライバーになるのは何か

-これからももっと事業を伸ばしていくために必要なものってありますか?

大前提に「はぐりら」という自社商品なのですが、ハグアンドリラックスの略なんです。本来は森の香りに包まれてリラックスしてほしいという思いで商品を作ったんですが、色々なことを考えているうちに「はぐりら」というのがグラースの活動全てに香りを通じているなと思いました。それに気づいて商標登録もしました。

サロンでは優しく触れ合ってお客様を包み込むようにや、スクールでは生徒さんたちを温かい心で応援するということ。あと産科婦人科の業務では全ての女性をサポートするということ。「はぐりら」の精神を大切にして事業を伸ばしていきたいなと思っています。

アロマとミストを作っているんですが、 今後はアイテムを増やすことを考えているので、化粧品製造販売業の許認可を含め検討しています。

-また違う業態になってくるんですね。

そうなんですよね。それに伴って働くスタッフがいないと発展していけないので、同じ価値を持ったスタッフが大事かなと思っています。元々サロン業務や女性と接する機会が多いのでお客様もスタッフも女性しかおらず、男性のお客さんって1割にも満たなかったんです。最近では木の香りを使った商品を作ったことで、今のサウナのブームでアロマ×自然が調和できるということでサウナで使っていただくことが多くなりました。そのきっかけで男性も3割くらいはお客様が増えてきたので、そういった意味では次の展開とか、ターゲットというのが広がったかなと思います。

 

-確かに!サウナブームってすごいですもんね。サウナの整い体験に合わせてアロマがあるとよりリラックスできますね。

「「自分だけ」頑張る」には注意‼

 

自身の経験から他の社長に「これは落とし穴になるぞ。注意しろよ。」というアドバイスをください

まずは1人でも頑張るしかないとは思うのですが、私のようにスタッフが数人でもいる場合は、1人だけ勉強するとか、1人だけ頑張ってる気になるっていうことが良くないかなと思っています。社長として自分がまずはやらないといけないとは思いますが、最初の頃は人脈を広げるためになりがちかなとも思うんですよね。人が増えた時にみんなに共有して同じように勉強し成長してもらいたいので、これがみんなでできるようになった時に会社の力っていうのがこうアップするかなとは思います。

 

-ありがとうございます!それって早川さんが頑張っているから私も頑張ろう!と従業員さんも思われるんだろうなと思うのですが、マネジメントと言っていいのか…このあたりを工夫されていることってありますか?

こういうことやるよって言っても伝わらないということが、1番良くないことかなとは思うので、常に「ありたい姿」というのを共有して目標を明確にして伝えています。指示だけではなく一緒に考えていくことが大事ですね。そこにはすごく時間もかかるんですけど、そこに取り組まないと、成長はないと考えています。

コロナ禍になって働き方も変わり、業務転換したこともあります。経営デザインシートや事業展開を発展させるための戦略や勉強会に参加してみんなで取り組んだりしました。他のスタッフも気づいたことがあったり理解できたことがあったと思うのでコロナ禍でみんななで価値を共有したというのは私やスタッフたち、そして会社にとって良かったなと思ってます。


-ありがとうございます。コロナで気付かされた部分があって、売り上げだけを考えた時とは、また別の軸でよかったなってことですよね。

そうですね、その時は目の前が見えなくなったんですけど未来に目を向けられたっていうことが、良かったなと思います。

「人の役に立つこと」が信念・哲学

『企業哲学』について教えてください

はい。香りを通じて喜びや幸せ、 そして癒しを提供するということを大事にしています。自分たちがいいなと思っても役に立たなければ意味がないので、人の役に立ち発展させていくこと。その気持ちをぶれないように持つことだと思っています。


-早川さんの思う『社長』とは?

そうですね。常に成長し続けるというか1度この勉強をしたから終わりというのはないのが社長なんじゃないでしょうか。成長し続けるということがまずは1つと、未来のありたい姿というのを常に可視化すること、未来を創造し目標を明確に示していくことが大切だと思います。

私自身、今の事業は1人ではできないので、スタッフやその人の力っていうのが、とても重要だなと思っています。同じ方向を向いて取り組むことができればチーム力が上がって、会社の発展に繋がっていくと思うので、 みんなのベクトルを合わせられる環境や仕組みを作るというのが、私の役目かなと思います。

-その環境や仕組みを作るのって、正直大変じゃないですか。 私もなんか上手くいかないわって思う瞬間結構多くて、そういうのって何かで勉強して学ぶのか、いろんな経営者の方からアドバイスをいただくというか、いろんな話を聞いたりして自分の事業に生かしていくのかだと何か方法とかってあるんですか。

そうですね。起業家の会や団体に入っているのでそういった学びをする機会はよくありますし、色々なセミナーを聞いて、グループ討論などをすることもあります。その時に考えさせられることもありますし、人の意見を聞いて気づくことっていうのもありますので、自ら、そういった環境に常に居続けるっていうことは大事かなと思います。 

あとはもう激変する時代なので柔軟に対応してすぐ実践することが大事です。立ち止まってはいけないと思っています。

メンバーに「本当は伝えたいけど、伝えられていないこと」

 

 

感謝の気持ちでいっぱいです。仲はいいとは思ってはいるのですが、常に毎日ありがとうって言ってるかって聞かれるとそうでもなかったり。あとは、どうやったら成長できるかなとか、 やりがいを持ってもらえるかなといつも考えています。

それを常に伝えてるわけではないので、日々の感謝と成長してほしいんだということを伝えたいですね。

これからの夢や目標を教えてください

そうですね、グラースを発展し続けていきたいということと、オリジナル商品のアイテムを、もうちょっと増やしていきたいと思っています。あとは、この香りを通じて人に幸せを運ぶということは、変わらない夢なので その気持ちは忘れないことが目標ですね。

 

まとめ

早川さんありがとうございました!地元である旭川市役所の方々にご協力いただきまして、早川さんを取材させていただくチャンスを掴んだので、市役所のみなさんにも感謝申し上げます。取材の時も早川さんの「はぐりら」や会社への想いを聞いていて、自分自身も地元の産業をもっと盛り上げたいなと思いました。取材のあと実際に購入させていただいてはぐりらを使って寝ていますがとっても快眠なので、スタッフさんや自分へのちょっとしたご褒美にいかがでしょうか?

グラース株式会社からお知らせ!

▼「はぐりら」の購入はこちら

https://www.grasse-aroma.shop/

▼グラース株式会社 公式ホームページ

https://grasse-aroma.com/

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