ビズスト|BIZ STORY

  

これからの働き方を変える!ITと不動産が融合したビジネスモデルの挑戦

株式会社FEEEP 青木 孝裕

今回は、IT・不動産領域の事業で活躍をされている青木様のビズストーリーをお届けします。

こんな方におすすめ
・コワーキングスペース(不動産)ビジネスを考えている方
・経営コンサルティングから独立を考えている方
こんなことが学べる
・複数の事業軸でビジネスを進めていく方法
・スタートアップにおける資金調達・チーム作りの重要性

出先の「居場所・働く場所がない」をITで解決する

事業内容について教えてください。

僕たちの事業は大きく3つの分野に分かれています。まず1つ目がIT事業です。具体的には、会議室やコワーキングスペースをアプリで簡単に予約できるシステムを開発・提供しています。たとえば、急に会議が必要になったときなどに、スマホでアプリを開いて、新宿や渋谷など便利な場所で、オフィスや会議室を15分単位で予約できるんです。利用者は目的地に到着したらすぐにその場所を利用できます。これがIT事業「レンタルスペース業界でのUBERのような世界的アプリを目指せ!」の中核です。

次に、不動産事業です。東京の主要エリア、例えば新宿や渋谷、池袋、銀座などの場所でオフィスをフランチャイズ展開しています。それをアプリと連携させて、いつでもどこでも簡単に予約して使えるようにしています。最初は関東圏での展開ですが、将来的には福岡や大阪など日本全国、さらにはバンコクやニューヨーク、ソウルといった海外都市にも展開していく予定です。

それと3つ目は金融の分野に取り組んでいます。これも非常に重要な要素で、僕たちは資金調達を行い、それをベースに新しいオフィスを開設したり、アプリをさらに進化させたりしています。これは事業の成長を支える大きな柱になっています。

-アプリを自社で開発されている点がすごいですね。企業様でもアプリの部分を外注していることが多いと聞きますが、貴社はすべて自社で作られているのですか?

はい、アプリの構想や設計を独自に進行しています。また実は、会議室ブースのデザインや設計、そして製造もすべて自社起点で行っています。細かい部分までこだわって設計していて、デザイン性はもちろん、音響効果や照明、空気の流れまで、細部まで最適化を目指して日々改善しています。

-自社で設計や製造まで行っているとは驚きですね。快適な空間を提供するためのこだわりがすごく理解できます。

起業された背景を教えてください。

もともと僕は理系の大学院で専門分野を研究していました(地球そのものが研究対象でした 笑)。しかしその中で「地球上のあらゆる分野に対して広い視野を持ちたい」と思うようになり、ビジネスや戦略の知見を広げるため外資系コンサルティング会社に就職しました。エネルギー、官公庁、製造業界をはじめ、ありとあらゆる企業のプロジェクトに従事しましたね。その過程で多くの業界に触れることができ、直接担当し、手触り感を得た分野が広範囲に広がりました。

その会社がIBMにグローバル統合され、転機が訪れました。IBMでは、AIやブロックチェーンなどの最先端技術に関わることとなり、スタートアップの育成やオープンイノベーションも担当しました。 IBMの技術を無料や格安で提供し、それを使ってスタートアップ企業が新しいプロジェクトを立ち上げ、非線形成長を目指すという取り組みです。

スタートアップの社長たちがとても楽しそうに”自分の”事業を展開しているのを目の当たりにした時に「自分もやってみたい!」と強く思うようになりましたね。その後、いくつかのスタートアップでゼロイチ経験に携わりながら、FEEEPをメイン事業として展開してきました。

-なるほど、スタートアップの支援をする中で「自分でもやりたい」と思ったのはすごいですね、独立するに当たって不安などはなかったのでしょうか?

最初は不安もあったかもしれませんが、それよりも自分のやりたいことに集中し、コミットできる自由さに惹かれました。 独立してからは10社ほどのスタートアップに関わりました。様々な経験を糧に、今ではFEEEPを軸として事業を進めております。

事業成長の秘訣は「チームメンバー」と「オフィス拠点展開」

競争優位性について教えてください。

ここまで事業を伸ばしてこられた要因ってどこにありますか?

やはり「チームメンバー」と「初期のオフィス展開(拠点)」です。共同創業者がエンジェル投資家としても活動しており、コアメンバーはスタートアップ立ち上げ経験を有していたので、資金調達や経営戦略に関しても非常にスムーズに進めました。

また、FEEEPの成長を支えたもう一つの重要なポイントは、初期オフィス拠点の獲得です。渋谷のスクランブル交差点近くに初号店を構えることができ、ブランドの認知度と信頼性が一気に向上しました。この物件を手に入れるのは非常に大変で、スタートアップであったため信用もなく物件を借りるのに相当苦労しましたが、幸運にも渋谷の中心部に素晴らしい物件を得ることができました。今では拠点を増やし、現在では10拠点以上に拡大できています。

-やっぱり最初は物件を借りること自体大変だったんですね…!

開業当初はそうでしたね。。。7箇所連続で断られたという苦い経験があります笑。そして弊社はチームが非常に強いです!共同創業者をはじめとして、創業メンバーは皆、僕たちと長く苦楽を共にしてきた信頼のおけるとても優秀で熱意に溢れる仲間たちです。時には意見が対立することもありますが、それが新しいアイデアを生む原動力になっています。 誰の意見が重要かではなく、最も優れたアイデアが採用される、という文化を大切にしていますし、これが成長の秘訣だと思います。

成長ドライバーについて教えてください。

-これから事業を伸ばしていくにあたって課題になりそうなポイントはありますか?

今のところ一番の課題は「人財採用」と「組織拡大」です。 現在、20-30名程度のチームで事業を運営していますが、今後さらに事業を拡大していくためには、優秀な人財を継続的に採用し、組織をスムーズに拡大していく必要があります。

採用では3ヶ月の試用期間を設けており、個人と会社お互いに取って良い選択になるように、新しいメンバーと僕たちのカルチャーや業務がフィットするかを見極められるようにしています。最終的には現場リーダーがその人とうまくWinWin関係が作れるかを判断します。日々の業務を共にするメンバーとの良好な関係性が最も重要だと考えるからです。

組織の急拡大は難しいため、今は1人1人確実にチームにフィットすることを確認しながら、着実に組織を拡大していこうとしています。

起業する方へ「地球上により良い場所を創る」が信念・哲学

青木さんの考える『経営』について教えてください

青木さんが経営をする上でこだわっていることはなんでしょうか?

僕が最終的にやりたいことは、大学院の研究テーマが地球そのものだったこともあり、ワンネスなんです。feel place, people, planetということで、より良い場所が世界中に面的に拡がり(smarter planet)、有機的に人と人とが繋がり、地球(社会インフラ)が一段階良い場所になる。 世界中に生産性の高い、より良いコワーキングスペースやオフィスが広がっていって、4万店舗の素晴らしい空間が提供されれば、地球全体で良いイノベーションが生まれてくると信じています。だからこそ、オフィスのデザインや家具、照明、空気の流れ、さらには匂いにまでこだわっていますし、椅子の座り心地一つでも手を抜きたくありません。座り心地一つで、集中力や仕事の質にまで良い影響を与えたい。最高の空間提供にこだわり続けることを大切にしています。

-確かに空間で集中力が変わったり椅子の座り心地でも仕事の捗り方は変わりますね。

そうなんです。また投資家やビジネスパートナーの皆様に対しても、我々のビジョンに共感してくれる人とご一緒したいと思っています。FEEEPに関わっていただいたからには、その方々に儲けていただいたり、豊かになっていただきたいですし、せっかくFEEEPに来てくださった方々には「いや〜めっちゃ捗ったわ!」って言ってほしいですね 笑。

色々なご経験から、起業当初(社長就任当初)の自分に対して、気をつけるべきことや落とし穴になりそうなことがあればアドバイスをください!

今でも変わることはありませんが、「信頼」を大切にするべきだと思います。物件を借りる際にも本当に信用がないと借りられないですし、ビジネスパートナーの皆様とお仕事をご一緒させていただくにもそれが一番大切だと痛感しました。信頼を一度と失うと取り戻すのも難しいです。 長期的な関係を大切にしてほしいです。

また、会社を立ち上げること自体はできたとしても、その後の運営や責任をチームでしっかりと考えることが必要です。社会に対する責任や、顧客・従業員やその家族に対する責任を常に意識して行動することが大切だと思います。

メンバーに「本当は伝えたいけど、伝えられていないこと」

僕が20代、30代だった10年、20年前と比べて、今ってすごく社会の状況が変わっていると思います。一昔前だと20代や30代でスタートアップのこの感じに触れることはもっと難しかったと思いますし、そもそもスタートアップという言葉自体にあまり馴染みがなかったと思います。全然時代が違ったわけなんですけど、 よく言われる昔の言葉で「若いうちの苦労は買ってでもしろ」じゃないですけど、 本当にそうだなと実感しています。今後の日本は少子化や高齢化で難局を迎えますが、日本が他の経済圏からは衰退していくように思えるであろう時代背景であるということも踏まえた上で、これからの若い人たちはある意味可能な限りグローバルやアジャイルのスケールやスピードにたくさん揉まれて良い意味で”若いうちの苦労”をしておいた方が良いと思っています。

FEEEPという会社がパーフェクトかどうかはちょっと置いておいて、スタートアップという環境で働きちぎっている状態そのものは本当にギフトだと心から信じているので。自分の人生に活きる!と思うので、頑張ってね!と本当に思っています 笑。

これからの夢や目標を教えてください

僕の目標は、世界中にスペース事業を展開し、世界中どこに行ってもすぐに快適で最適な場所がある、という状態を実現することで、それが未来を担う若手起業家や投資家の橋頭堡となり、「世界を舞台に戦うのが当たり前だよね」という認識の若者が当たり前になってくれることが僕の望みです。

僕自身の成功よりも、次の世代の起業家や投資家が世界で活躍し続けることがむしろ重要だと考えています。

株式会社FEEEPからのお知らせ

▼株式会社FEEEP HP

https://www.feeep.net/

▼FEEEP銀座にあるイベントスペースの特設サイト

https://www.feeep.net/ginza-eventspace/

▼青木が専念経営のインタビューを受けた際の動画

https://www.youtube.com/watch?v=FbRm7MTEJ4I

 

株式会社FEEEP

代表取締役CEO 青木 孝裕

愛知県名古屋市出身。東京大学大学院 工学系研究科 地球システム工学専攻 修了。 2003年より、大手外資IT/戦略コンサルタント企業にて、新規事業創出や中央省庁/自治体/民間企業の社会インフラプラットフォーム構築など、ITを活用したソーシャルイノベーションに従事。 その後、外資系サイバーセキュリティ関連スタートアップに参画し、次世代社会のインフラ構築に携わる。 2021年、FEEEPを設立。 自身の問題認識から社会課題の解決を展望し、ソーシャルインパクトを産み出すため、非営利活動や政治、思想、文化等の分野を含む多岐に亘る活動を精力的に展開している。
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