株式会社ビズ・クリエイション 初谷 昌彦
今回は、住宅領域の事業で活躍をされている初谷様のビズストーリーをお届けします。
- こんな方におすすめ
-
・Saas業界での事業展開を考えている方
・起業直前で周りを頼るか迷っている方
- こんなことが学べる
-
・起業当初の「こんな人には気をつけろ」
・営業組織のあり方/考え方
株式会社ビズ・クリエイション 初谷 昌彦
今回は、住宅領域の事業で活躍をされている初谷様のビズストーリーをお届けします。
弊社は住宅業界において工務店をはじめとした戸建住宅の建築やリフォームを行う住宅会社に向けたサービスを展開しています。住宅業界に特化をした広告代理店として2008年に岡山県で創業しました。現在はプロモーション事業部とクラウド事業部の2事業部があります。
創業時からあるプロモーション事業部は、住宅業界に特化した広告代理店として、住宅会社への来場予約を増やすためのイベント企画や広告配信などをメインでやらせていただいています。
2017年から開始したクラウド事業部は、KengakuCloud(ケンガククラウド)という住宅会社への来場予約やイベント集客を管理するSaasのサービスを開発・運営しています。
住宅会社が集客イベントを開催するには、イベントページの作成や来場予約の管理、またお客様にご対応する営業担当のスケジュール調整が必要です。しかし、地域の住宅会社や工務店で集客や来場予約を管理する専任者を置くことは簡単ではありません。KengakuCloudはこれらの業務負担を軽くすることを目的としています。またイベント集客を増やしたい住宅会社に向けて、プロモーションの事業部の広告運用を組み合わせてのご提案も行なっています。
-ありがとうございます。私が勉強不足で大変申し訳ないのですが、貴社のクライアント様になる業界って不動産会社様になるのでしょうか…?
一般的に不動産会社と住宅会社が混同されてしまうことが多いのですが違います。不動産会社というのは、土地・建物の仲介や取引、開発、賃貸・管理が主な業務です。マンションディベロッパーなども不動産会社になります。一方、住宅会社というのは、注文住宅や分譲住宅など、主に個人向けに戸建て住宅の設計・建築・販売を行っている会社のことをいいます。
起業の背景にはそもそも住宅業界はありません。2005年に岡山県の広告代理店に新卒入社をして、それから3年弱ぐらいで独立、起業をしているので、独立当初は広告代理店として創業しました。
-違うお仕事だったんですか!元々起業したかったんでしょうか?
大学生の頃から「社会人になって3年で会社をつくる」ということは決めていました。ただ今のように起業が当たり前の時代ではなく、当時 20代の社長は周りに全然いませんでした。新卒でフリーペーパーを運営してる会社に入社しました。私が大学生のとき、フリーペーパーを作るのが流行っていて興味があったものの、自分でやるには思いの外印刷が高いなど、できなかった思いがあって。自分のやりたかったことが就職に繋がったという感じです。
その時に、どうせやるんだったらフリーペパーを作るだけではなく関わる業務から派生して色々なサポートができるようにしていきたいなっていうのは大学の時から思っていたので、 私は広島出身ですが、岡山県の会社に就職し、3年後に起業しました。
–ここまで事業を伸ばしてこられた要因ってどこにありますか?
実は5、6年前に倒産の危機がありました。様々な課題を抱えてうまくいかなかった時期を経て、現在は順調に売上を伸ばしています。
私たちが提供しているのは、広告媒体でもKengakuCloud(ケンガククラウド)の機能でもありません。今、事業が順調に伸びているのは、お客様が求めている「集客をしたい」「受注を伸ばしたい」という課題にしっかりフォーカスをして解決するためのご提案やご支援をしているからだと考えています。
-お客様の本質的な課題を解決しようと寄り添っているわけですね。
「広告代理店」というと、広告を運用することに対して費用がいただけるので、たとえ思っていたような反響が出なくても、反省が少ないという側面があります。しかしお客様にとっては集客や受注を伸ばすために必死で用意した予算なわけです。そこには大きなギャップがありますよね。 だからこそ弊社ではこのギャップを生まないために「かけた費用以上の結果を出す」ということを本当に愚直に続けてきました。
-ありがとうございます。企業さんによってはお客様のために試行錯誤して提案をしていても会社として結果が出なくて…という企業さんもありますが、貴社はどのように営業組織を構築されてきたのでしょうか?
創業から10年ほどは営業の要素が強い会社で、お客様にご提案をして広告運用を受注することにすごく興味があったのだと思います。しかし私たちの仕事はご依頼をいただいた後がとても大事です。お客様の集客や受注を増やすことが本質的ですし、それがまた次のご依頼をいただけることに繋がると考えています。
倒産危機以降は営業力を強めるのではなく、お客様の課題を解決する仕組みや方法をご提案することに注力しています。営業のみを行う組織を拡大させるという発想はもうありません。お客様の課題を解決し、集客や受注の部分で結果を出すことが重要です。
-これから事業を伸ばしていくにあたって課題になりそうなポイントはありますか?
課題は多すぎて挙げきれないですね(笑)
会社としては「集客に対する意識を社員全員が持つ」ことが重要だと考えています。直接お客様と関わることがない開発や管理部のメンバーも「お客様の集客を一番に考える」と会社方針としてお伝えしています。どの部門にいても「お客様の課題を解決し集客や受注を増やすこと」によって、自分たちはお給料がいただけるということをしっかり理解して自分の業務に繋げてほしいと思います。
ただ、この意識を社員全員に浸透させるのは簡単ではありません。
-そうですよね、わかっていても理解しきることは難しいですよね。
どうしても営業担当は「サービスを売ること」が目標になるので売上を伸ばすために動いてしまうことが多いかと思います。お客様へのご提案内容一つをとっても「機能の提案になってないか」と確認をしながら、私たちがご提供するサービスの目的は「お客様の集客や受注を増やすこと」であって、ご提案内容がどのように課題解決に繋がるのかをご説明することが必要だと伝えています。この意識の部分を浸透させるまでは時間がかかると考えているので弊社においてはそれが一番の課題かと思います。
-私もずっと営業なので個人の結果に目を向けがちだったので、営業さんの気持ちはものすごくわかります。
そうですよね。お客様の集客や受注を増やすことが自分たちに繋がる、この循環をインセンティブとして作る必要があると考え、弊社ではお客様の来場予約数をKPIにしています。経営側が売上を伸ばすことに囚われすぎないよう、本質を見て大鉈を振るう時は必要だと感じていますね。
–初谷さんが経営をする上でこだわっていることはなんでしょうか?
お客様が求めている本質というものにしっかりと向き合って、価値を提供することだと思います。
多くの場合、商材の特徴で自分たちの経営手法を決めてしまったり、示してしまったりすることが多いかと思いますが、お客様が「お願いします」とご依頼していただける裏側には「集客を増やしたい」「受注を増やしたい」「経営を安定させたい」「こんな会社にしていきたい」など自社の課題を解決したいという切実な思いが存在しています。
その本質に向き合い課題を解決するという価値をご提案・ご提供していかなければいけません。そのためにも私たちの共通課題として「集客」に注力する意識の浸透を徹底することにこだわっています。
岡山の起業セミナーなどでもよく話すのですが、起業当初は「支援をしたい人」がやってきます。最近であれば「資本金入れてあげるよ」とか「うちの2階使っていいよ」とか。起業をするとき、ほとんどの方は心配なことが多く自信もありません。いろいろなものに頼りたくなる気持ちに付け込んで「君は伸びると思うから出資する」や「手伝ってあげる」と言いながら近寄ってくる方は一定数おられます。
そのときは「その方が何を目的に近づいてきてるのか」というところに気づき見極めることが大事です。お金なのかもしれないし、その会社が持つアイデアや技術なのかもしれません。
創業時は直接お伝えしにくいかもしれないですが、そこは契約で規定するなど細かいところまでしっかりと考えておくことが重要です。もしそれができない場合は業務委託でいつでも切れる関係性をキープしておくことも必要かもしれません。
そうしておかないと、数年間を失うことにもなりかねません。実際に私も創業当初の5年間はそれで苦しみましたから。
5、6年前の倒産危機では社員を8割ほど減らすという大きな解雇を経験しました。そのときに残ってくれた社員は今もまだ会社にいて、現在では取締役や執行役員を務めています。この方々のおかげで数年間は売上が上がり成長できていると思うので、とても感謝しています。
取締役や執行役員を中心に事業やサービスに共感し、強い繋がりを築いてくれる社員が多いです。本当にいい人が多い、純粋で素直な方ばかりです。
私自身も純粋な気持ちで経営をしたいと考えており、お金よりも「目の前のお客様を大事にする」ことを積み重ねてきました。弊社には「純粋な人」がすごく多く、 斜めから物事を見るような人方は本当にいないので、私や会社の思いを理解し体現してもらえる環境は本当にやりやすいです。いつもありがたいなと思っています。
私が本当にやりたいことはとても抽象的ではありますが「住宅業界を透明性の高いものにしたい」ということです。初めて住宅業界に携わったとき「なぜこんなに住宅業界は一般の方に分かりにくい業界なんだろう」と感じました。これは不動産も同じです。情報の非対称性というか、取引の当事者全員が同じ情報をもたず一部の人に情報が偏在してしまう、売り手はその商材をよく知っているものの、買い手はそれを知らないという状況は少なくないと思います。
弊社では住宅業界を透明性の高いものとするために、KengakuCloud(ケンガククラウド)を開発しました。たとえば、工務店などがモデルハウスを持つとなると、土地を購入し、そこに何千万円もかけて家を建てます。その集客コストはお客様に転嫁されてしまいます。
KengakuCloud(ケンガククラウド)では、すでに建っている家を見学できるように来場予約の仕組みを整備しています。
日本には今5,000万戸を超える家がありますが、実際に見学できる家なんてほとんどありません。また、うち約1,000万戸は空き家です。
新築の家や暮らし始めて年数が経っている家、そして空き家がいつでも見学できれば、実際の住み心地だけや経年劣化だけではなくたくさんの選択肢の中から「自分がどんな家に住むべきか」ということを考えやすい状況になります。
「日本全国にある家を見学できる社会の実現」が私の夢であり、透明度の高い住宅業界につながると考えています。
▼Kengaku Cloud(ケンガククラウド)
住宅業界専用の来場集客ツールです。
これまで集客業務にかかっていた膨大な手間と費用を、大幅削減&効率化。
あなたが開催するイベントに、あなたが望む潜在顧客をスピーディーに集めます。