ビズスト|BIZ STORY

 

地方の働き方改革を仲間と共に促進させる。中小企業を元気にする四代目社長のビジョン。

株式会社 WORK SMILE LABO 石井 聖博

今回は、ワークスタイル提案領域の事業で活躍をされている石井様のビズストーリーをお届けします。

こんな方におすすめ
・後継社長の方
・会社を立て直したい方
・競合との差別化に困っている方
こんなことが学べる
・会社を復活させるための考え方
・ミスマッチのない採用をするためには
・会社やサービスに付加価値をつけるための考え方

オフィス用品の先にある企業の「こうなりたい」を叶える

事業内容について教えてください。

中小企業を対象とした「働き方をコンサルティングする」事業を展開しています。

具体的には、ビジョンに共感してくれる仲間を探す「働く人の採用と育成支援」や、テレワーク活用を支援する「働きやすい環境創り支援」、職場環境構築を支援する「DX支援」をメインに行っています。

ありがとうございます!事業を展開していく中での貴社の強みを教えてください!

「自社で使ってみて本当に良いと感じたものを提案する」ところです。

現在はITやDXも山のようにツールが存在していますが、その中で良さそうなものを自分たちで見つけてきて一旦自社で活用してみます。活用しながら自社で事例を作り、本当に良いと感じたものをお客さまにご提案することで、ツールと一緒に具体的な活用方法もお伝えすることができるのでお客さまからご好評いただいているという形になります。

社長に就任された背景を教えてください。

私の会社は明治時代に創業した会社ですので、私で4代目になります。

約18年前に会社に帰ってきて、9年前に後継として社長に就任したという形になりますが、帰ってきた当初は価格競争が激しい業界ということもあり、倒産寸前まで追い込まれました。当時社長だった父からも「別の仕事を探してくれ」と言われていましたが、この会社を守りたいという想いもありましたので、父と一緒に金融機関に足を運んで関係を継続してもらえるようにお願いをしに回りました。

そのとき金融機関から「とにかく新しいことを始めてほしい」と言われましたが、新しいビジネスモデルなんて急には思いつきませんでした。しかし、それから少し経った頃にとある知り合いの社長さんから「新しいパソコンが欲しい」という旨の電話があったことで、会社としての新しい価値を作ることができ、今の会社の形が出来上がりました。

その1本の電話からどのような流れで今の形になったのでしょうか…?

その会社さんはこの前パソコンを変えたばかりだったので「先日変えましたよね?」と聞くと「あのパソコンは動くスピードが遅いから、メーカーは問わないのでとにかく早いパソコンが欲しい」と回答がありました。そのときに、この社長さんは新しいパソコンが欲しいのではなく、その先の「社員の働きやすさ」や「効率的に働くことによる業績アップ」に繋げたいという想いがあるのだと感じ、会社としての「売る価値」を再定義しました。

それにより今の会社の形が出来上がり、9年前に私が後継者として社長に就任して今に至るという流れになります。

やはり後継者として就任する際には大変なことも多かったのではないでしょうか?

そうですね。特に会社の借金は私たちが作ったものではなく、先代たちが作ったものですがそれも含めて全て引き継いだので、そこは大変でした。しかし、私は良いものだけを引き継ごうとするのではなく「プラスもマイナスも含めて全てを引き継ぐ」という覚悟を持っていたので、先代たちが作った借金も返しながら全て自分ごととして社長業をこなしています。

ビジョンから逆算した意志決定が会社を育てる

競争優位性について教えてください。

ここまで事業を伸ばしてこられた要因ってどこにありますか?

当社のビジネスモデルが「働き方改革」や「コロナ禍」という時代背景とマッチしたことも大きかったですが、1番の要因は「逆算の選択をしてきたこと」です。

当社の専務に私の弟が就いていますが、私が社長に就任してすぐに弟と「会社の10年後のビジョン」について1週間かけて作り上げました。そして、そのビジョンを実現するためにどうするかという軸ですべての選択、判断をしてきたことが1番大きな要因だと思いますね。

ありがとうございます!具体的にどのようなことをされてきたのでしょうか?

1つ挙げるとすると「新卒採用」になります。

社長就任当初はまだまだ新卒採用をするようなフェーズではない状況でしたが、10年後のビジョンを実現するためには、当時の段階から「会社の考え方やビジョンに共感してくれる若い人材を採用する仕組み」を作っておく必要があると感じました。当然周りからは反対されましたし、私も10年後のビジョンではなく今の会社だけを見ていたら新卒採用に踏み切ることはなかったと思います。しかし、最初から軸をブラさずに逆算した選択をし続けたことで新卒採用したメンバーが社員の約半分を占めていますし、会社の成長につながっていると感じます。

ビズストで取材していると「新卒採用しても早期離職が多くて悩んでいる」というお声を聞きますが、貴社では何か取り組みをしているのでしょうか?

ミスマッチのない採用を意識した取り組みとして「ビジョン強化型採用」をしています。

働き方改革や多様性が広がってきたこともあり、最近の新卒のみなさんは有休消化率や残業、休みといった「働く環境や条件」を重視することが増えてきています。しかし、私たちがそこで戦おうとしても大手には勝てません。

なので、私たちは「会社としての想いやビジョン、社会へどのような価値提供をしているか」といった表面には見えていない内側の部分を訴求することを貫いています。内定した段階から教育していくので、ついてこれなかったり共感できなかった子たちは4月を迎える前に辞退しますし、私たちも「早めに気づけてよかったね」というスタンスでいますね。

成長ドライバーについて教えてください。

-これから事業を伸ばしていくにあたって課題になりそうなポイントはありますか?

「いかに生産性が高い会社にしていくか」が課題だと思っています。

私たちは「2033年までに岡山県で1番平均給与が高い会社にする」というビジョンを掲げています。なので、CREVAS GROUPさんの「ニッポンの平均給与を上げる」という想いにも非常に共感しているのですが、そのためには「1人当たりの生産性がどれだけ高いか」が重要になってくると思っています。テレワークを活用して働きやすい環境を作っていても、社員の離職率が低くても、1人当たりの生産性が下がっていたら誰も真似をしたいと思いますし、会社として成長していかないと思います。なので、当社はとにかく生産性向上に注力して平均給与を上げる取り組みをしていきたいです。

起業する方へ「逆算しながら意志決定すること」が信念・哲学

石井さんの考える『経営』について教えてください

石井さんが経営をする上でこだわっていることはなんでしょうか?

「メンバーのビジョン作り支援」にこだわっています。

もっと成果を出したい、こういう人生を歩みたい、もっと豊かになりたい、というように「成長を求める人材を育成すること」を目的としてビジョン作りの支援をしています。

具体的には、半年に1度会社を休みにして1人1人と3年後の仕事とプライベートのビジョンを深掘りして明確化していくという場を作っています。

そこが明確になると、仕事への取り組み方も変わってきそうですね!

その通りです。3年後のビジョンが明確になることで、そこから逆算して仕事に取り組むようになるので私から指示をしなくても能動的に動くんですよね。そうすると、私は指示を出すというポジションではなく、ビジョンを実現させるためのサポート役というポジションになるので、私が思い描く理想の社長像に近づくこともできます。

しかし、それでモチベーションが上がる人もいればそうでない人も出てきますよね。

そこも私がこだわっている部分につながるのですが、262の法則をご存知でしょうか?

「優秀な働きを見せる人が2割、普通の働きをする人が6割、貢献度の低い人が2割」を表す法則なのですが、当社は元々貢献度の低い2割に合わせる経営をしていました。しばらく貢献度の低い2割に合わせながらなんとかみんなで頑張っていこうという姿勢で経営していましたが、そうすると、優秀な働きを見せる2割のモチベーションが下がって辞めてしまうんです。

それでは会社として成長していくことが難しいと感じ、今では優秀な働きを見せる2割に合わせた経営をして、頑張って成果を出す人が評価をされるという会社にしました。その結果、優秀な働きを見せる2割に全体が引っ張られて会社として成長することができましたし、そこについてこられない人は、自分が輝ける新たな場所に進むようになりました。

今後もその形をブラさずに続けていきたいと思います。

色々なご経験から、社長になりたての方に対して、気をつけるべきことや落とし穴になりそうなことがあればアドバイスをください!

実体験にはなりますが「今の自分や今の会社ではなく、将来のビジョンを見据えた上で逆算しながら意志決定すること」です。

私の社長就任当初は社員が10人もいない債務超過している会社でしたが、その時点での会社を見ながらできることを考えていたらその場しのぎのことしかできなかったと思います。しかし、10年後のビジョンを実現するための意志決定を常にしてきたことでここまで来られているので、その意識は常に持ち続けてほしいと思います。

メンバーに「本当は伝えたいけど、伝えられていないこと」

当社はメンバーに求めるレベルがとても高いです。新人にも未経験者にも高いレベルを求めますが、そこにみんな一生懸命ついてきてくれています。その結果、本人が気づかないうちにすごい成長をしていますし、仕事に対する目線がすごく上がっていますので、そこに対して自信を持って堂々と働いてほしいなと思います。

また、私はこの会社で働くことでやりがいと誇りを持てるような会社にしていきたいと思っていますし、みんなが心から幸せだと思ってもらえるようにしていきたいので、「これからもよろしくお願いします」と伝えたいです。

これからの夢や目標を教えてください

「働き方をより良くすることで中小企業を元気にする」ことを目指していきたいです。

特に日本の地方の中小企業は首都圏に比べてまだまだ働き方が遅れていて、理由の1つとして地方創生が進んでいないことが挙げられます。地方創生のために補助金や助成金がたくさん出ていますが、地方の中小企業が元気にならないと地方創生は進まないと私は考えています。ですので、当社が働き方を良くしていくことで地方の中小企業を元気にしていきたいです。

株式会社 WORK SMILE LABOからのお知らせ

▼株式会社 WORK SMILE LABO HP

https://wakusuma.com/

株式会社 WORK SMILE LABO

代表取締役 石井 聖博

岡山市出身。大学卒業後、キヤノンマーケティングジャパン株式会社を経て、2015年から家業である老舗事務機屋の4代目として現職につく。50名以下の中小企業へより良い働き方を提供する企業となるべく、まずは自社の働き方改革へ着手し、テレワークやICTを活用した多様な働き方に常に挑戦している。 本社で実際に働いている姿を見て体験頂けるライブオフィス”ワクスマ”に力をいれている。
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